〈コラム〉の記事一覧
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第3回 保健師の職能は「運ぶ」「入力する」なのか

第3回 保健師の職能は「運ぶ」「入力する」なのか

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために保健所の機能強化が必要だと言われている。
 いいぞ、いいぞ、と思う。新型コロナウイルスを口実に、保健所機能を強化したらいいと思う。
■「人の家にずかずか上がり込む能力」
 ここだけの話、本音は必ずしも新型コロナウイルス対策ではない。さらに言えば、「保健所機能」というより、地域を歩く「保健師」を増やしてほしいのだ。これを機に、保健師さんが津々浦々、平時に活躍できる環境が整うと良い。
 かねて、地域包括ケアの充実には保健師が不可欠だと思っている。ところが、専門性がちっとも理解されない。
 保健師の職能とは何か。「人の家にずかずか上がり込んでいく能力だ」と言った人がいた。的を射ていると思う。念のためだが、当の保健師さんがそう言ったのである。
 そうなのだ。保健師さんは……

第2回 間違えないために必要な“考え方”とは(下)

第2回 間違えないために必要な“考え方”とは(下)

 さてここまでくると、前回の冒頭に紹介したハンス・ロスリングやスティーブン・ピンカーたちと同じ問題意識になってくるのである。
■脳の原始的な機能は現代ではバグと化す
 ハンス・ロスリングは、人はなぜ間違えるのか、人はなぜ事実とは完全に異なる「ドラマチックな世界の見方」に溺れるのかという問いに対して、最初は、知識のアップデートが足りないからであると考えたようである。しかしそれはどうも違うと思い、悪徳メディアやプロパガンダやフェイクニュースが原因ではないかと考えていくようになる。だが、そうした考えは間違いであることに気付いていく。そしてたどり着いた先は、「脳の機能」にあるというものであった。
 ハンス・ロスリングよりも前に、人間の本能の問題を考えていったのが、スティーブン・ピンカーである。彼の考えは、次の一言に……

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第2回 間違えないために必要な“考え方”とは(下)

第2回 間違えないために必要な“考え方”とは(上)

 このコーナーのタイトルは、「そろそろ社会保障のこと、まじめに考えたらどうだ。。。」である。連載の2回目には、「まじめに考える」ということはどういうことなのか? について書いてみようかと思う。
■なぜ人は年金に関して誤った信念を抱くのか
 しばしば、次のような話をする。
 日本ではもちろん、世界中で大ベストセラーとなっている『ファクトフルネス』の著者ハンス・ロスリングは公衆衛生を専門とする医師、そして、マイクロソフトのビル・ゲイツに「世界は良くなり続けている。たとえ、いつもはそんなふうに思えないとしても。…大局的な視点から世界の姿を我々に見せてくれる」と評さていた『21世紀の啓蒙』の著者スティーブン・ピンカーは言語能力の獲得過程を研究してきた言語学者・心理学者、それから、『ちょっと気になる社会保障』などの著者である私(笑)は経済学者――おそれながら、彼らにはある種の共通点がある。さて、それは何?
 それは、彼らの論には認知とか本能という言葉が何度もでてくることである。
 私は、2004年に行われた年金改革の大騒動の頃から、いいかげんな年金論を言う論者達に、それ間違えているよっと諭(さと)す、年金誤解を解く請負人、鬼退治をする桃太郎侍のような役回りにさせられていた。あれからもうすぐ20年近くなるのであるが……

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第2回 2002年、訪問看護をやめて病院に戻ることを決めた理由(下)

第2回 2002年、訪問看護をやめて病院に戻ることを決めた理由(下)

■骨折した認知症の母を「入院させなアカン?」
 暮らしの場だからこそ、力を発揮できる。1990年代、在宅ケアの経験の中で、私にそのことを教えてくれたのは、はなさん(仮名、80歳代女性)だった。介護保険制度が導入される前は、通所介護の相談員がケースマネジメントをしていた。つながりのあった通所介護(特養併設)の相談員から、「便が出なくて、イレウスの心配があるため病院へ連れて行っている方がいる。飲み込みの問題も出てきた。長く家にいられるように訪問看護で支えてほしい」と相談され、はなさんの家を訪問した。
 はなさんは重度のアルツハイマー型認知症だった。「はなさ~ん、宇都宮です。おはよう!」と挨拶すると、はなさんはクシャクシャな笑顔になって、そこから訪問看護の時間が始まった。はなさんはパンツ式おむつを着けていたけれども、いつもオシャレな服で過ごしていた。訪問看護では健康チェックをし、1週間の様子をうかがいながら、娘さんからの療養相談にのって、そのあと一緒に散歩をした。近所の子どもたちが「はなばあちゃ~ん」と集まってくる。老いて、少し物忘れが出てきても、子どもたちにとってはなさんは、これまでと変わらない存在なんだなと感じた。
 ある日、娘さんから少し泣きそうな声で携帯に電話が入った。はなさんが自宅で尻もちをついて整形外科を受診したところ……

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第2回 2002年、訪問看護をやめて病院に戻ることを決めた理由(下)

第2回 2002年、訪問看護をやめて病院に戻ることを決めた理由(上)

■病院医療では叶えられない願い
 2000年、在宅医療の現場で介護保険制度の幕開けを迎えた私は、これからは療養者1人ひとりに専門の相談員(介護支援専門員:以下、ケアマネジャー)が伴走して、望む暮らしを支え、生活の場で人生の幕引きを迎えられることが当たり前になると、大きな期待を寄せていた。
 2002年、私は、病院併設の訪問看護ステーション管理業務と兼務で「ケアプラン事業室」を立ち上げ、介護保険制度創設に向けた準備を担うことになっていた。600床以上ある病院で、医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)と同じ部屋に机を並べることになった。そのころ、多くの医療機関では、MSWが相談援助の一環として退院困難になった患者への転院調整や退院調整を行っていた。
 ある日、若いMSWが、「転院先を探している患者さんですが、私、悩んでいるんです」と、声をかけてきた。訪問看護部統括の私のそばには、MSWの統括責任者のデスクがあるから、すこし遠慮がちに(笑)。そして、「謙さん(仮名)は“もう、治らない事はわかっている。そしたら病院にいる意味はない”と自宅に帰ることを望んでいます。だから転院先を探すこともままならず、困っています」と打ち明けた。
 謙さんは膵がん末期の50歳代の男性。高校生の息子と中学生の娘、妻との4人暮らし。中心静脈栄養管理や痛みを緩和するための注射が今後も必要で、主治医は「当院は急性期病棟だから、ゆっくり入院できる病院へ移って頂きます」と本人と家族に話していた。
 治せない現実を受けとめ、主治医の意見に逆らってでも「うちに帰りたい」という謙さんの気持ちにきちんと応えようと……

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第2回 「帰りたい」を連発していたMさんが笑顔になるまで

第2回 「帰りたい」を連発していたMさんが笑顔になるまで

■「徹底した自立支援」を理念に
 還暦を迎え、それまでの仕事を全部辞めることにしました。ズルズルと延長戦の仕事をすることに抵抗があり、1回しかない人生、何か別なことをしてみたいと思っていたのです。まず、1〜2年はのんびり趣味や旅行を楽しみながら、これからを模索する時期にしようと思い描いていました。
 ところが2016年秋、移住を準備していた山梨県北杜市が認知症グループホーム設置の公募をしたことを知り、これなら私にもできるかもしれないと応募することにしたのです。東京で6カ所のグループホーム立ち上げ・運営の責任者をしてきた経験をもとに、ゼロからの出発です。模索の時期がなくなりました。
 グループホームを作るにあたって必要なことは4つ。理念と職員確保と……

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第3回 コロナ禍で保健所と市町村の連携が問われている

第3回 コロナ禍で保健所と市町村の連携が問われている

■保健所はどんな機関か
 新型コロナウイルス感染症の流行で、保健所がにわかに注目を集めている。2月、保健所に帰国者・接触者相談センターが設置され、「37.5度以上の発熱が4日以上続く」などの場合はまずここに相談することとされた。後に、その電話がつながらないことが問題となる。そのほかPCR検査の検体採取、検体の検査機関への輸送、陽性者への疫学調査など、保健所には膨大な業務が突然降りかかった。
 保健所がどんな機関で何をするところか、あまりピンとこない人が少なくないと思う。臨床医の中にも、コロナ禍以前は保健所とあまり接点がなかったケースがあるのではないだろうか。
 現在の保健行政は、1994年の地域保健法に依拠している。このとき、都道府県と市町村の保健行政が線引きされ……

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第2回 腹立たしいうがい薬騒動、在宅患者にしわ寄せ

第2回 腹立たしいうがい薬騒動、在宅患者にしわ寄せ

 在宅患者様の疾患はさまざまです。現在、私たち薬局で関わる患者様の疾患は、個人在宅を受け持っている場合、どこでも大差はないと思いますが、関わり方は病態により変わってくるのではないでしょうか。関わる期間も、短期間の方も長期間の方もさまざまです。
■自宅に閉じこもりテレビ報道に一喜一憂
 短期間の方には、頻回に深く関わることが多い傾向があります。長期にわたる疾患ですと、おつきあいが十数年にわたる方もおられ、安定していれば、今までは月に2回の訪問診療のあと処方がでて、私たちが訪問していました。コロナの影響で医師の訪問も1回になり、お薬もまとめて1カ月分をお届けし、その後に電話での服薬指導となっています。
 新型コロナ感染の拡大から半年がたちましたが、いまだ終息のめどさえたっていません。第2波と思われる時期と人が移動する時期が重なり、感染が拡大しないか心配しています。そのことは在宅患者様でも同様で、ほぼ半年近く、自宅から一歩も外に出ていないご家族もいらっしゃいます。とくに高齢の夫婦2人で暮らしている方の中には……

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第2回 地域支援事業はコロナ禍の下で何ができるか

第2回 地域支援事業はコロナ禍の下で何ができるか

■予定通り動かない地域支援事業
 「このコロナの状況じゃ、地域包括ケアとか言っていられないですね」
 ここ数カ月、同じようなことを何度か質問されました。緊急事態宣言が出された4月から6月にかけて、ほとんどの地域で通いの場活動は休止したと思います。その後、徐々に再開されていますが、地域の空気が変わってしまったと感じている方も多いと思います。
 地域支援事業の停滞感は、通いの場などの住民主体の活動だけではなく、在宅医療・介護連携推進事業についても、同様です。昨年度中に計画していた研修会やセミナーの類の多くが延期やキャンセルされていることでしょう。地域の緊迫した状況の中で、地域ケア会議の開催にも慎重になっています(私自身、いただいていた講演のほとんどが中止、または延期になりました)。そうした流れの中で、冒頭のように「地域包括ケアどころじゃない」という言葉が出てくるのは、自然なことかもしれません。
■通いの場が封じられたなら別の手段を
 通いの場の展開が難しくなったこの状況下で……

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第3回 コロナ禍で保健所と市町村の連携が問われている

第2回 認知症のある患者の透析に家族が付き添えない

■せん妄が出て1日で退院させられる
 ある患者さんは、86歳で元看護師の女性。難聴でレビー小体型認知症もある。新田クリニックの外来に通院していたが、最近は訪問診療となった。この方が腎不全となって投薬で治療していたが、クレアチニンが次第に高くなってきた。透析を検討する段階になっても、元看護師で医療知識のある本人は「透析は絶対に嫌です」と拒否していた。
 腎不全は進み、クレアチニンは透析の適用を大幅に超えるような数値となった。全身がむくみ、胸水も溜まり始め、息苦しさも現れている。これは透析しないと命にかかわる段階だ。そこで本人に改めて筆談で尋ねると、ついに「透析を受けてもよい」という答えで、透析病院を紹介した。透析は通常週3回、1回に4時間程度かかり、日帰りで行うが……

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