テレビも新聞も混乱している。新型コロナウイルスの報道である。方向性が真逆の内容が並ぶこともある。どこも社内は大揉めなんだろう。揉める事情はひとえに、日頃は医療に関心のない人が記事を書いたり、書かせたりしているからだ。素人と感覚が変わらないから、世の共感を得やすく、ボルテージがさらに上がる。
最初の混乱は、PCR検査だったと思う。私も社内で怒鳴られたり、怒鳴り返したりして疲れ果てた。これはまたの機会にする。
■新型コロナの「特効薬」?
次の大きな混乱は「アビガン」だった。新型コロナウイルスの特効薬として、ある日突然、浮上した。加藤勝信厚生労働大臣が2月……
第1回 社会保障ナンバーの必要性――映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」に思うもの (下)
■本当に困っている人がわからない日本
最近のイギリスにおける「即時的情報(Real Time Information)計画」をはじめ、以前からアメリカの社会保障番号などが整備されてきた状況を考えれば、国民の所得、生活の状態を国が把握できていないということが、今や先進国の中の日本の際だった特徴になりつつある。日本では、住民税非課税世帯であるかどうかの情報くらいしか国側からはわかっておらず、今回の新型コロナが襲った国民の生活を、政策として支えようにも誰が本当に困っているのか、残念ながらよくわからないのである。
タックス・クレジットを行うためには、所得の随時捕捉は必要であるから、それを行う国では、そうしたインフラの整備が進められてきた。だからそうした国々は……
第1回 データ分析しても地域課題が見えないのはなぜ?(下)
■時系列分析で地域の「変調」を知る
では、データ分析と、地域課題の解決をうまく連動させるには、どういうことに気を付けたらいいのでしょうか。
まず、健診データともいうべき基本データ、特に高齢化率や認定率、保険料、保険給付のデータなどは、時系列でのモニタリングがポイントです。他の市町村との比較も意味はありますが、介護保険も20年を超えており、高齢化や地域資源の状況には、簡単に解消しない格差があります。差があることを問題にしてもあまり意味がないのです。むしろ、同一地域における時系列の変化を見ることで地域に何が起こっているのかを知ることが大切です。これは、健康診断でもまったく同じではないでしょうか。
そして健診段階では地域課題が見えるわけではない、ということも……
第1回 新型コロナをチャンスととらえて 今できる最大限のことを考えよう(下)
■病院も在宅もざわざわとして…
オンラインミーティングでは、こんなことが打ち明けられました。
病院では、家族の面会ができないため、緩和ケア病棟でさえ、家族が寄り添えずに亡くなった方もいました。高齢者が誤嚥性肺炎を発症しても、感染を否定できないという理由からかなかなか入院できず、入院できても絶飲絶食になります。病棟では、口腔ケアや食べるためのリハビリを積極的には行えないでいました。
5月以降、訪問看護や訪問診療の新規依頼が増えているという現象があちこちで起こりました。入院すると家族と会えなくなるから、という理由で在宅医療によるサポートを選択しているのではないか。十分な退院支援がないままの在宅ホスピス移行も多い中、訪問看護師、ケアマネジャーが、これまで作り上げてきた連携力を最大限活用して……
第1回 第2の人生を風光明媚な地で
「コロナコロナで都会は住みにくいので移住しよう」ということで移住したわけではありません。50歳代半ばから自分の高齢期をどこでどのように暮らすかを考え「風光明媚なところで、花や野菜に囲まれて暮らしたい」と考え、今から4年前、還暦と同時に八ヶ岳南麓(山梨県北杜市)に移住したのです。
■さて何をしよう…サービス立ち上げに挑戦
移住はしたものの、さて何をしようか…。社会人になってから還暦までの約40年間を、東京で訪問看護・在宅ケア・認知症の方のケアに没頭して取り組んできた身。野菜作りだけをやっていくことは多分無理。そこで、東京での経験をもとに、移住先の地域で不足していて、かつ、私が取り組めるサービスの立ち上げに挑戦することにしました。
移住先の地域の事情をゆっくりと把握して……
第1回 在宅ケア従事者への「新型コロナ対処方針」(下)
■医療・介護従事者はチームの一員として行動を
議論を重ね、アライアンスの「対処方針」では、諸外国の好事例も参考に、日本の事情を汲み、以下のように独自の方針を掲げている(要約)。
・在宅医は地域の医師会や行政などと連携し、保健所に相談の上、必要に応じPCR検査を行う。
・在宅医・訪問看護師は、関係する在宅ケアの介護職員に対して感染防護の知識・技術を積極的に指導・助言する。
・在宅ケアに携わるすべての医療・介護従事者は、新型コロナの最新情報を常にフォローして感染予防に生かし、在宅療養者と家族に伝える。
・在宅ケアに携わるすべての医療・介護従事者は……
第1回 在宅ケア従事者への「新型コロナ対処方針」(上)
■在宅で感染者が出ることを想定
日本在宅ケアアライアンスは、6月22日、「新型コロナウイルス感染症の中で在宅ケアを守るために《対処方針》(第1版)」を公表した(https://www.jhhca.jp/covid19/200622policy/)。アライアンス内の災害対策委員会「コロナ感染症対策班」が原案をまとめ、加盟団体などの意見も取り入れながら策定した。
これに先立つ4月22日には、「在宅ケアにおける新型コロナウイルス感染対策について(行動方針)」を公表している(https://www.jhhca.jp/covid19/200422action-policy/)。「行動方針」は主に濃厚接触など感染の疑いがある場合を想定して、在宅ケアに携わるサービス提供者が守るべき基本的事項をとりまとめた。6月の「対処方針」はこれより踏み込んで、在宅で感染者が出ることも想定し、「行動方針」を実践するために取り組むべき事項を、より詳細に提示している。
■封じ込めが評価されるドイツの手法とは
「対処方針」の策定に際して、東京都の状況を考慮した。東京では在宅療養者について、PCR検査のルールも感染防御資材の配布も感染した場合の対処も、十分に整理・検討されているとは言い難い。そこで、新型コロナウイルス感染症の封じ込めに欧州で最も成功したとされるドイツの……
第1回 コロナと地域包括ケア
コロナ騒動で痛感した。医療も介護も、あるものを使うしかない、のだ。
「ああいうのが、いいな」と思っても、手元に同じような医療や介護の資源がなければ、同じにはならない。どんな資源があるか棚卸しして、どれをどう使ったら、一番パフォーマンスがいいかを考えるしかない。
そう思ったのは、マスコミがこの間、さまざまな海外のモデルを“お手本”みたいに紹介したからだ。「海外ではこうしている。それに比較して、日本はどうだ(ダメだ)」という類いのアレである。
隣の芝生は青いけれど…
世界で患者の急増が始まった3月半ば、英国のボリス・ジョンソン首相の演説が注目された。「感染が進むにつれ……
第1回 介護施設の新しい生活様式
■利用者も家族も職員もストレスをためている
筆者は「介護弁護士」である。高齢者・障害者介護の現場で起きるトラブル解決を専門として開業し、11年になる。
今年、誰もが想像しなかった世界的事件が起きた。新型コロナウイルス(コロナ)の影響で、人々の交流が分断され、数名で集まることもできなくなった。介護施設も例外ではなく、家族の面会や利用者の外出は禁止された。それでも全国の施設で陽性者が出始め、ひいてはクラスター(集団感染)が勃発する施設が相次ぎ、連日のように報道された。高齢者は特に抵抗力が弱く、基礎疾患もあることから1人でも陽性者が出現すればあっという間に感染拡大してしまう。見えない敵の襲撃に晒されながら、外部との接触を極力遮断し、戦々恐々とする日々が続いた。
2020年7月現在、緊急事態宣言は解除され、都道府県間の越境も可能となった。未だマスク着用、ソーシャルディスタンスは維持されているが……
第1回 新型コロナから患者様とスタッフを守れ
薬剤師として在宅訪問を長年続けています。今回のCOVID19(新型コロナウィルス感染症)の出来事は、今までの経験では対応できない大きな課題と受け止め、その時々の新たな情報をふまえながらも、薬剤師としてすべきことはなにかという理念に基づき、対応策を模索しながら行動しています。
COVID19は2019年12月8日に中華人民共和国湖北省武漢市で最初の肺炎患者が発症したとされ、やがてその原因が新型コロナウイルスと判明しました。日本国内においても、2020年1月14日に新型コロナウイルスに関連した肺炎患者1例の発生が報告されました。ただ私はこの時点では、日本ではなく中国の出来事で、それほど大きな問題とはとらえていませんでしたし……
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