97年度当時、武蔵野市の高齢者福祉分野の職員は要介護認定に向けたモデル準備の実務より、介護保険法案の根幹にかかわる課題への批判やブックレットの編集・作成に追われていたというのが実情です。
ただし、隣接する保谷市(現・西東京市)が1・2回目のモデル事業に参加していたので、その認定調査や認定審査会を視察・傍聴し、情報共有していました。武蔵野市に専任の介護保険担当が新設されたのは98年4月でした。そのうえで98年度モデル事業に臨んだのです。
■要介護認定の準備が最大の山場
要介護認定の結果は、サービス給付に直接リンクします。だから被保険者にとって要介護認定は、自分がどれぐらいのサービスを受けられるかを左右する、重要な判定です。
保険者となる市町村にとっても、実務的な労力を最も必要としたのは要介護認定の準備でした。“本番”のための準備認定が始まるのが99年10月で、モデル事業の実施時期はそのほぼ1年前、98年9月末~11月末です。職員は多忙を極めました。
モデル事業では、市内の65歳以上の高齢者107人(当時の在宅サービス受給者57人と施設サービス受給者50人)に対して要介護状態を判定します。判定の流れは、初めに調査員による介護認定調査を行い…