新型コロナウイルス感染症の第5波は、9月に入って新規陽性者は減少傾向にあるものの、重症者は高止まりし自宅療養者が激増している。そして、自宅療養者の健康観察がなされず急激な悪化が見逃され、亡くなるという、あってはならない事態が相次いでいる。これは一体…
第63回 安楽死の前に過剰緩和を議論すべきだ🆕
■安楽死が合法の国が増えている
安楽死が合法である国・地域はオランダ、ベルギー、ルクセンブルク、スペイン、ポルトガル、カナダ、コロンビア、エクアドル、ニュージーランド、オーストラリア・ヴィクトリア州である。スイス、ドイツ、イタリアとアメリカのいくつかの州では医師による自殺幇助が合法だ。
この1年ほどの間に、イギリス下院とフランス下院で安楽死法案が相次いで可決された。安楽死の合法化はヨーロッパを中心に広がっている。
安楽死と一言で言っても、さまざまな実相がある。①医師が致死薬を投与して死に至らしめる「積極的安楽死」、②医師が処方した致死薬を本人みずから使用する「医師による自殺幇助(PAS・PAD)」、③延命治療の拒否による「尊厳死」、に分けられる。
合法の範囲も国によって異なる。オランダなど①が合法である国では、②も合法で③は通常医療の範疇である。ドイツやイタリアなど②③が合法の国もあれば、韓国と台湾では③のみが合法である。フランスの法案は①、イギリスの法案は②を合法とする内容といえる。
日本では「尊厳死法案(終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案)」が2012年に公表されたものの、国会審議に至っていない。①②③すべてが法制化されていないわけだが、厚労省が作成した「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年改訂版)は「医療・ケア行為の開始・不開始/中止」に言及しており、③に近い内容といえなくはない。
とはいえこのガイドラインは「人生の最終段階における」ものであり…