中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は7月14日、厚生労働省から示された次期調剤報酬改定の論点を議論した。論点の主なものは、薬局の対物業務から対人業務への構造的転換の推進、かかりつけ薬剤師・薬局の普及、オンライン服薬指導など。
コロナ対策として引き続きオンライン開催となった
対物業務から対人業務への転換に関しては、がん患者のレジメン(治療内容)を把握した上で必要な服薬指導を行うことなどを評価する特定薬剤管理指導加算2、喘息の患者への吸入薬の使用方法の実技指導などを評価する吸入薬指導加算などが新設されるなど、対人業務の評価が充実された。
かかりつけ薬剤師・薬局については、処方医に重複投薬などの解消に関する提案を行った場合の評価として服用薬剤調整支援料2が新設されているほか、かかりつけ薬剤師指導料やかかりつけ薬剤師包括管理料などの点数が引き上げられている。
オンライン服薬指導では、情報通信機器を使った服薬指導と在宅患者オンライン服薬指導で加算が新設された。
これらの論点のうち、対物業務から対人業務への転換に関しては、対人業務で新設された加算がほとんど算定されていないことを具体的に数字で示した上で、その理由として対物業務で経営が成り立つからだと指摘し、見直しを求める意見があった。
また、オンライン服薬指導については、営利目的としないことや、患者のニーズがあり、安心安全が担保されているのであれば活用していくべきとの意見が出された一方、本来、改正薬機法でオンライン服薬指導を認めるはずだったものが、コロナ対応として規制を大きく緩和した「0410対応」で活用を続けていくことへの懸念が示された。
そのほか、薬局と医療機関の独立性をめぐる規制の緩和により解禁された「敷地内薬局」への保険適用を見直すことや、病棟薬剤師を増やすための加算を求める意見なども出されていた。
なお、公益委員が意見を述べたことに対し、診療側委員が公益委員の役割は支払側委員と診療側委員の意見がまとまらない際の調停だとして、意見を述べるべきではないと批判した。これに対し、公益委員からは次期改定の開始に当たり、両サイドから出なかった意見を言ったまでと反論し、支払側委員も異なる視点からの発言でいいのではないかと公益委員の発言に賛同の意を示した。