隠されていた問題を明らかにしたコロナ――ホームレスを生まない社会を求めて①

2021年 5月 10日

髙橋 奥田さんはいろいろな分野で活躍され、活動は多岐にわたっています。その端緒は学生時代、大阪・釜ヶ崎でのホームレス支援活動にさかのぼるとうかがっています。大学卒業後、牧師の資格をとって北九州市の教会の牧師になられ、牧師と並行してホームレスや困窮者支援を続けておられます。
 北九州市という産業都市でホームレス支援の活動を展開され、今では日本で指折りの支援団体の1つに成長したというか、発展したというか…。
■スタート時は1日も早い解散を目指した
奥田 ありがとうございます。ただ、成長とか発展となかなか言いにくい業界でして、我々のような「困窮者支援団体」はあまり発展しないほうがいいわけです。活動は、1988年からですが、2000年にNPO法人「北九州ホームレス支援機構」が発足した時に「1日も早い解散を目指して今日始めます」とご挨拶をしたことを覚えています。しかし活動開始25年目の2013年に「もう解散できない」と覚悟を決め……
この記事は有料会員のみ閲覧できます。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

官と民間の壁を破り新たな公共を創造する――ホームレスを生まない社会を求めて③

■コロナで相談支援が揺らぐ
髙橋 コロナ禍での生活困窮者への支援について、どんな問題が浮かんでいますか。
奥田 さまざまな場面で不定形な困窮が広がるなかで、ある程度自由に機能したのが、生活困窮者自立支援制度の相談窓口でした。この制度がこの時期に存在していたことは、大変有意義だったと思います。ただ想定外だったのは、その窓口が給付手続きに追われたことです。
髙橋 生活困窮者自立支援制度は本来、給付中心ではなくケア中心の建て付けでしたね。
奥田 そうなんです。この制度の強みは、「人が人を支えること」といえます。ですから「原則給付無し」が特徴でもあります。相談支援を重視してアセスメントし続け……

この記事は有料会員のみ閲覧できます。

私たち民間が拓いた新たな支援のあり方――ホームレスを生まない社会を求めて②

■「私」と「官」と「公」
奥田 住宅政策と社会保障の関係を考える上で、「公(パブリック)」の概念が重要だと考えています。
 住宅政策は基本的に民間市場に任され、国は、公営住宅の供給に限定して関わってきました。言葉として「公営」と表現されますが、これは、県や市町村が供給し国が制度の大枠と補助金政策によってすすめる、いわば「官営」として提供されていました。
 しかし、今後は私的供給に任せる「私」でもない、あるいは公的な「官」でもない、もう1つの枠組み、つまり「公共」という言葉にふさわしい「公(パブリック)」、つまり「共有資源(コモンズ)」としての住宅が必要だと思います。
 イギリスの民営化を進めたサッチャー首相(当時)が「社会はない」と言ったのは、私的所有による市場が生み出す「私」の世界と、政府・行政による「官」の世界しか認めず、しかも……

この記事は有料会員のみ閲覧できます。

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(12月16-22日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS