ACCESS(東京都千代田区)と金沢大学は、早期認知症リスクを簡易に検知するスマートフォン向けサービスの開発に向けた共同研究に着手した。
金沢大で共同研究に参加しているのは、医薬保健研究域保健学系の米田貢准教授、菊池 ゆひ助教、融合研究域融合科学系の米田隆教授の(米田研究グループ)で、小脳のフィードフォワード制御の学習回路に着目した。
認知症の予防には早期発見が重要で、MCI(軽度認知障害)の段階で予防・適切な治療をすることで、回復あるいは発症を遅らせることができる場合があると言われている。しかし、MCIの段階では症状が軽いため、本人や周囲も気づきにくく、見逃される傾向にある。
ACCESSと米田研究グループは、このような発見の遅れによる進行を防ぐため、認知機能の低下を捉える簡易で継続的に利用可能なツールが必要であると考え、共同研究を開始した。
共同研究では協力者から得た課題データを基に、認知機能評価のアルゴリズムを構築する。ACCESSはこのアルゴリズムを基に、スマートフォン向け「認知機能チェックアップアプリ(仮称)」を開発する。
サービスの仕組みは、認知機能チェックアップアプリをインストールしたスマートフォンを対象者が片手で持ち、その上から水の入ったペットボトルを置く。その際の手の上下の揺れをスマートフォン内蔵加速度センサーで取得・データ化し、アプリを介してクラウド上で解析、結果を手元のスマートフォン画面に表示する。
この仕組みにより、スマートフォンさえあれば、誰でも、いつでも、どこでも、手軽に自身の認知機能を確認することができる。
小脳のフィードフォワード制御を認知機能低下の早期発見に応用する研究は、世界で初めて。また、小脳のフィードフォワード制御に着目し、スマートデバイスとデータ解析を組み合わせ、ペットボトルなどの重りによる負荷課題を対象者に与え、人体の挙動データから認知に関わる脳機能を評価する仕組みは日本初となる。