九州工業大学発スタートアップのAUTOCAREは、訪問介護事業者がソフトウェアをインストールすることなしに、手軽でシンプルに移動距離を集計できる「移動距離らくらく集計システム」を開発した。北九州市で480人以上のヘルパーを抱える北九州福祉サービスに試験導入し、効果を検証する。
AUTOCAREは介護の分野に、AIとIoTを学びとともに普及させることをミッションとしている。その研究成果を介護・福祉分野を中心に応用する中で、訪問介護事業所では交通費の精算に多くの手間ひまをかけていることを知り、同システムを開発した。
全てのヘルパーの訪問の記録を入力しておくと、ヘルパー名を選択するだけで、ヘルパーや訪問先の住所から移動距離を計算し、そのヘルパーの月の移動距離が集計される。
具体的には、初めにスタッフの住所一覧を登録しておく。次に訪問先の住所一覧を登録し、訪問の記録も入力する。年月とヘルパー名を選択すれば、そのヘルパーの月の移動距離が住所から簡単に集計される。なお、スタッフの住所と訪問先の住所、訪問の記録は、介護システムからCSVデータで出力したものを貼り付けることができる。
このシステムを試験導入する北九州福祉サービスは、多くのエリアに分かれてヘルパーが訪問介護サービスを提供しているため、移動費の集計も大変な負担になっている。システムの導入により、ヘルパーの負担が軽減できるかどうかを、数カ月にわたって検証する。
ヘルパーは、複数の高齢者宅を訪問するだけでなく、直行直帰をすることもよくある。このような移動費を精算するのに、施設によっては毎週・毎月、手書きで集計しているところも多いという。
例えば、ヘルパーが20人いる事業所で1週あたり10分かけて2人がかりで確認すると、移動費の計算だけに月に26.6時間、つまり毎月約3.3人分の人件費を使っていることになる。今回開発したシステムを使えば、こうした手間やコストを削減することが見込まれる。