厚生労働省の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)医療保険部会は10月14日に開催した会合で、菅内閣が基本方針の1つとして掲げている不妊治療への保険適用について議論し、保険適用する治療法を拡大することでおおむね一致した。
今後、不妊利用を実施する医療機関や患者などへの調査、中央社会保険医療協議会での議論などを踏まえて適用範囲などを検討していく。
不妊治療については現在、手術療法や薬物療法には保険が適用されている。一方、原因が分からない機能性不妊の場合に行われる人工授精や体外受精などは保険適用外となっているため、一部国の補助はあるものの、自己負担での治療となっている。
この日の会合では、少子化対策の観点から不妊治療の経済的負担を軽減するため、保険適用する治療法の拡大に賛成する意見が多く出された。一方で、経済的負担が軽減することにより、周囲から子どもをつくるよう圧力がかかることへの懸念を示したうえで、「生殖年齢にある人たちの幸福追求の1つの形として進めてほしい」との要望があった。
また、保険適用されるということは、医療保険上の「疾病」となるため、周囲から病気であると見られること、保険適用にならない治療法を併用すると混合診療となってしまう可能性があることへの懸念も示されていた。