厚生労働省の厚生科学審議会(厚労相の諮問機関)予防接種・ワクチン分科会は10月2日、第17回会合を開催し、新型コロナウイルスワクチンの接種を国が全額負担して実施することを承認した。
予防接種には法律上、目的に応じて定
期接種・臨時接種・新臨時接種・特定接種・住民接種の5つがある。今回の新型コロナワクチンの接種については、定期接種のような平時の蔓延予防ではないが、新臨時接種が想定する病原性が低い疾病と評価するのは難しいことから、現行の臨時接種に関する規定を適用し、適用できないものについては特例を検討することになった。
臨時接種の場合、実施主体は都道府県または市町村で、市町村に指示できるのは都道府県のみとなっており、接種順位の決定などについて国が関与できる法的な仕組みとはなっていない。このため、新型コロナワクチンに関しては、特例的に国が優勢順位などを決定し、市町村に対し接種の実施を指示できるようにするとともに、都道府県も広域的な視点から市町村に協力することとした。
また、臨時接種では費用を都道府県や市町村も負担することになっているが、今回の接種事業に限っては、国が市町村に対して接種を実施するよう指示し、接種勧奨を行い、接種を受ける努力義務も課すことから、特例的に国が全額負担を行うことになった。ただ、接種勧奨と努力義務については、必要に応じて、これらを適用しないことを可能とする例外規定を設けた。この件に関しては、委員から接種を行わない人への周囲の圧力などを懸念する意見が出されていた。
他のワクチン同様、新型コロナワクチンでも接種により健康被害が発生する可能性がある。そこで、臨時接種と同じく、高水準の救済給付を行うことにした。委員からはリスクコミュニケーションの重要性を指摘する意見が出され、国や現場の医師などが分かりやすく説明することを求めた。
そのほか、ワクチンの効果について、インフルエンザワクチンでも発症予防効果は20~60%で、日本では新型コロナウイルス感染による重症化率は2割程度とされている中で、新型コロナワクチンの重症予防効果が20%でも接種事業を行うのかという疑問や、他のワクチンに比べ、新型コロナワクチンは接種後、疲労感や発熱、頭痛などが多く生じることが臨床試験の中間結果で示されており、接種後、そうした症状が出た場合、新型コロナウイルスに感染した場合の初期症状と区別がつかないのではとの指摘も委員から出されていた。