第8期計画指針案を承認 社保審介護保険部会

2020年 7月 28日

 社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護保険部会は727日、第91回会合を開催し、第8期介護保険事業計画(202123年)の基本指針案を承認した。頻発する災害発生や新型コロナ感染症の流行を踏まえ、災害や感染症対策に関する体制整備を初めて盛り込んだ。

 熊本県南部の豪雨災害で特別養護老人ホームの入所者14人が死亡したり、新型コロナ感染症の拡大により介護施設でクラスターが発生したりするなど、高齢者施設で災害や感染症による被害が発生していることを受け、2月の会合で提示した基本指針案に追加した。

 具体的には、防災や感染症対策についての周知啓発・研修・訓練の実施、介護事業所などでの物資の備蓄・調達・輸送体制の整備、自治体や関係団体が連携した災害・感染症発生時の支援・応援体制の構築を求める。その際、ICTを活用した会議の実施などによる業務のオンライン化を平時から推進することが重要としている。

 また、高齢者の自立支援・重度化防止などに向けた取り組みを行うため、新たに創設した保険者機能強化推進交付金などの活用、市町村が進める地域づくり活動の中心的な役割の担い手として、従来の生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)、協議体に加え、新たに就労的活動支援コーディネーター(就労的活動支援員)も盛り込んだ。

 なお、この日の会合では、匿名要介護認定情報等の提供に関する専門委員会の設置も承認した。介護保険法の改正により、「相当の公益性」のある研究などを行う幅広い主体に対して、匿名介護保険等関連情報を提供できるようになった。同委員会は匿名データの提供申し出について、相当の公益性があるか、不適切利用による個人の権利利益の侵害の可能性がないかなどを総合的に検討することになる。

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 事務局は①について、地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制の構築が重要、との前提で、地域の性格によって課題を以下のように位置づけた。
 
 中山間・人口減少地域…サービス基盤の維持・確保
 都市部…新たな事業者や人材の持続的な確保
 一般市等…前2者それぞれへの対応
 
 そのうえで中山間・人口減少地域では、前回の部会で議論されたサービス提供体制の確保のための方策について、介護保険事業計画に反映することが重要、との方向性を提示する。
 
 さらに、者向け住まいについては、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の議論もふまえ、介護保険部会で議論して整理する。介護予防や人材確保、生産性向上に関する事項も含めて…

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 ①地域の類型の考え方
 ②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み
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 ④介護サービスを事業として実施する仕組み
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 ⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用
 
 ①地域の類型の考え方は、全国を「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」の3つに分類し、状況に応じたサービス提供体制を構築していくことが重要、とする。「中山間・人口減少地域」についてはサービス提供の維持・確保を前提として新たな柔軟化のための枠組みを設けることを提案する。

人材確保に向け処遇改善を議論 給付費分科会🆕

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 総務省の人口動態調査によると、今年1月1日現在の日本の人口は1億2433万690人で、前年に比べ55万4485人(0.44%)減少した。  日本人が1億2065万3227人で同90万8574人(0.75%)減少したのに対し、外国人は367万7463人で同35万4089人(10.65%)増加した。減少する日本人の数を外国人の数が補う形となっている。  日本人は2009年をピークに16年連続で減少、外国人は13年の調査開始以降、最多となった。都道府県別では、日本人は東京都のみ増加した一方、外国人は全都道府県で増加した。...

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