社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護保険部会は7月27日、第91回会合を開催し、第8期介護保険事業計画(2021~23年)の基本指針案を承認した。頻発する災害発生や新型コロナ感染症の流行を踏まえ、災害や感染症対策に関する体制整備を初めて盛り込んだ。
熊本県南部の豪雨災害で特別養護老人ホームの入所者14人が死亡したり、新型コロナ感染症の拡大により介護施設でクラスターが発生したりするなど、高齢者施設で災害や感染症による被害が発生していることを受け、2月の会合で提示した基本指針案に追加した。
具体的には、防災や感染症対策についての周知啓発・研修・訓練の実施、介護事業所などでの物資の備蓄・調達・輸送体制の整備、自治体や関係団体が連携した災害・感染症発生時の支援・応援体制の構築を求める。その際、ICTを活用した会議の実施などによる業務のオンライン化を平時から推進することが重要としている。
また、高齢者の自立支援・重度化防止などに向けた取り組みを行うため、新たに創設した保険者機能強化推進交付金などの活用、市町村が進める地域づくり活動の中心的な役割の担い手として、従来の生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)、協議体に加え、新たに就労的活動支援コーディネーター(就労的活動支援員)も盛り込んだ。
なお、この日の会合では、匿名要介護認定情報等の提供に関する専門委員会の設置も承認した。介護保険法の改正により、「相当の公益性」のある研究などを行う幅広い主体に対して、匿名介護保険等関連情報を提供できるようになった。同委員会は匿名データの提供申し出について、相当の公益性があるか、不適切利用による個人の権利利益の侵害の可能性がないかなどを総合的に検討することになる。