筆者は「介護弁護士」である。高齢者・障害者介護の現場で起きるトラブル解決を専門として開業し、11年になる。
今年、誰もが想像しなかった世界的事件が起きた。新型コロナウイルス(コロナ)の影響で、人々の交流が分断され、数名で集まることもできなくなった。介護施設も例外ではなく、家族の面会や利用者の外出は禁止された。それでも全国の施設で陽性者が出始め、ひいてはクラスター(集団感染)が勃発する施設が相次ぎ、連日のように報道された。高齢者は特に抵抗力が弱く、基礎疾患もあることから1人でも陽性者が出現すればあっという間に感染拡大してしまう。見えない敵の襲撃に晒されながら、外部との接触を極力遮断し、戦々恐々とする日々が続いた。
2020年7月現在、緊急事態宣言は解除され、都道府県間の越境も可能となった。未だマスク着用、ソーシャルディスタンスは維持されているが……