FRONTEO(フロンテオ、東京都港区)は6月23日、慶應義塾大学医学部と共同研究している認知症診断支援AIシステムに関する特許査定通知を、特許庁から受領したと発表した。
日本初となる同システムは、これまで専門医でなければ難しいとされていた認知症の診断を、自然な日常会話から短時間で行うことができる。同システムの実用化により、専門医のいない地域や、医師と直接面会できないような状況下で、認知症診断支援が可能になる。
また、時間・場所などに制限されないことから、今後、超高齢化社会を迎える日本で、遠隔医療や医療の効率化など、より幅広い用途への応用も考えられる。
同システムは独自のライフサイエンス分野特化型自然言語解析AI「Concept Encoder(コンセプト・エンコーダー)」を利用し、患者と医師の間の5〜10分程度の日常会話から、認知機能障害をスクリーニングできる。同社は共和薬品工業と事業提携契約を締結し、医療現場への早期実用化と早期市場浸透を目指す。
コンセプト・エンコーダーは、自由記述のテキストデータを大量に含むメディカルデータを、エビデンスに基づいて有効に解析・活用することを目的に、2018年に開発した。テキスト以外のデータとの共解析も可能で、ライフサイエンス領域に蓄積されてきた遺伝子発現情報・バイタルや、各種検査値などの数値データとの共解析の研究を進めている。
なお、今回の研究開発は日本医療研究開発機構(AMED)の未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業の支援で行われた。