社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護給付費分科会は6月1日、オンライン形式で第177回会合を開催し、2021年度の介護報酬改定に向けた本格的な議論を再開した。
今回の会合では、新たな論点として浮上した新型コロナウイルス感染症への対応や、前回までの議論で分野横断的なテーマの1つとして挙げられた地域包括ケアの推進などが話し合われた。
新型コロナへの対応では、政府の第2次補正予算案に、介護事業者が感染症対策を実施した場合の費用の支援、介護施設・事業所に勤務する職員への慰労金の支給、サービス再開に向けた支援などが盛り込まれている。
このうち、職員への慰労金については、新型コロナ感染症が発生した事業所、あるいは濃厚接触者に対応した事業所に勤務し、利用者と接する職員に20万円、それ以外の事業所で利用者と接する職員に5万円を支給するとされている。
会合では委員から、支給対象となる職員の範囲と支給方法について質問があり、事務局から職種を限定しないこと、事業所を通じて支給する方針であることが示された。また、感染症対策を恒久的な仕組みとすることを求める意見もあった。
地域包括ケアの推進に関しては、今回の改定では、中重度の要介護高齢者や医療・介護双方のニーズがある高齢者への在宅サービスなどのあり方、在宅の中重度の要介護者を含めた認知症の人への対応力を向上するための方策が主な論点となっている。
委員からは、組織を超えた専門職の連携の重要性、介護人材の確保に向けた取り組みの早急な実施、情報共有システムへの口腔に関する項目の追加、多様な認知症研修の整理など、多角的な視点から意見が出された。