厚生労働省の介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究で、ADL維持等加算ⅠまたはⅡを算定している事業所は、通所介護で2.6%(578事業所)、地域密着型通所介護(小規模デイサービス)では0.3%(57事業所)にとどまっていることが分かった。
6月1日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会で事務局が報告した。調査は前回(2018年度)の介護報酬改定で新設されたADL維持等加算の効果の検証や、今後のサービスの質の評価方法の検討などを目的に、介護保険総合データベースによる分析と、郵送による事業所調査で実施した。
ADL維持等加算の算定要件としては①5時間以上の利用回数が5時間未満より多く、6カ月以上連続して利用する人が20人以上、②要介護3以上の利用者の割合が15%以上、③初回の認定から12カ月以内の利用者の割合が15%以下、の3つがある。
調査で、3要件をすべて満たす通所介護事業所は63.9%、地域密着型通所介護事業所では12.4%であることも判明した。小規模デイでは①を満たす事業者が少なく、これが算定の制約になっていた。
ADL維持等加算を届け出ていない理由として「要介護3以上の利用者割合が算定要件を満たさない」との回答が5割近く、「バーセルインデックスを使った評価の負担が大きい」が4割以上あった。加算について緩和・改善してほしい点では、「加算単位数」が最も多かった。ヒアリング調査からは、算定に当たっての手続きが複雑との意見も複数得られた。
ADL維持等加算がサービスに与えた影響では、事業者が届け出に向けて新たに実施した取り組みとして「定期的なADL評価」「利用者への目標の変更」「他事業所のリハビリ専門職等との連携」などが挙げられ、加算届け出に向けて介護サービスの質の向上につながる取り組みを実施していたことも明らかになった。