小規模デイの算定は0.3% ADL維持等加算

2020年 6月 1日

 厚生労働省の介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究で、ADL維持等加算またはを算定している事業所は、通所介護で2.6%(578事業所)、地域密着型通所介護(小規模デイサービス)では0.3%(57事業所)にとどまっていることが分かった。

 61日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会で事務局が報告した。調査は前回(2018年度)の介護報酬改定で新設されたADL維持等加算の効果の検証や、今後のサービスの質の評価方法の検討などを目的に、介護保険総合データベースによる分析と、郵送による事業所調査で実施した。

 ADL維持等加算の算定要件としては①5時間以上の利用回数が5時間未満より多く、6カ月以上連続して利用する人が20人以上、②要介護3以上の利用者の割合が15%以上、③初回の認定から12カ月以内の利用者の割合が15%以下、の3つがある。

調査で、3要件をすべて満たす通所介護事業所は63.9%、地域密着型通所介護事業所では12.4%であることも判明した。小規模デイでは①を満たす事業者が少なく、これが算定の制約になっていた。

 ADL維持等加算を届け出ていない理由として「要介護3以上の利用者割合が算定要件を満たさない」との回答が5割近く、「バーセルインデックスを使った評価の負担が大きい」が4割以上あった。加算について緩和・改善してほしい点では、「加算単位数」が最も多かった。ヒアリング調査からは、算定に当たっての手続きが複雑との意見も複数得られた。

 ADL維持等加算がサービスに与えた影響では、事業者が届け出に向けて新たに実施した取り組みとして「定期的なADL評価」「利用者への目標の変更」「他事業所のリハビリ専門職等との連携」などが挙げられ、加算届け出に向けて介護サービスの質の向上につながる取り組みを実施していたことも明らかになった。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

訪問介護事業者の倒産が10月で年間最多上回る

 東京商工リサーチによると、介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産が1-10月で145件発生し、これまで年間最多だった2022年の143件を上回り、2カ月残して過去最多を記録した。  業種別では、訪問介護72件で23年の67件を抜いて過去最多となった。ヘルパー不足や燃料代などの運営コスト上昇に加え、24年の介護報酬マイナス改定の影響が出ている可能性がある。  訪問介護以外では、通所・短期入所が48件、有料老人ホームが11件、その他が14件だった。...

23年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円

 厚生労働省によると、介護給付費と自己負担額を合わせた2023年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円で、前年度に比べ約3227(2.9%)増え過去最多となった。  介護サービス費は11兆2146億円で、同3066億円(2.8%)増、介護予防サービス費は2993億円で同161億円(5.7%)増えた。  受給者数は介護サービスが566万6500人で同7万4900人(1.3%)の増加、介護予防サービスは124万4600人で同5万9900人(5.4%)増えている。...

高齢者数が過去最多、高齢化率は200カ国中最高に

 総務省がまとめた65歳以上の高齢者人口推計によると、「敬老の日」の9月15日時点の高齢者数は3625万人で過去最多となった。総人口に占める割合は29.3%で過去最高となっている。  総人口が前年に比べ59万人減少しているのに対し、65歳以上人口は2万人増加した。この結果、総人口に占める割合は前年に比べ0.2ポイント増加した。  総人口に占める65歳以上人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降、一貫して上昇しており、1985年に10%、2005年に20%を超えていた。...

「高齢社会対策大綱」決定 医療費負担拡大を検討

 政府は6月13日、2018年以来6年ぶりの改定となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定。75歳以上の後期高齢者の医療費について、窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討する方針を示した。  後期高齢者の窓口負担は現在、原則1割、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割負担となっている。これを、年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという観点から、3割負担の対象の拡大を検討することになった。...

6月の訪問介護事業所の廃業が前年に比べ1割増

 厚生労働省の調査によると、6月の訪問介護事業所の廃業数が前年同月に比べ1割増加していることが分かった。4月の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことも一因と見られそうだ。  都道府県・政令市・中核市129自治体に照会し、126自治体から回答を得た。その結果、廃止事業所数は133で、前年同月の119から11.8%増加した。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(11月18-24日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS