存在意義を問う声も 第109回介護保険部会

2023年 12月 8日

 12月7日、第109回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「給付と負担」について議論し、「『介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会』の中間整理及び総合事業の充実に向けた工程表」「改正介護保険法の施行等」について報告された。

 給付と負担については、介護保険サービス利用時の利用者負担が2割となる「一定以上所得」の範囲をどう拡大するかについて議論された。昨年12月にこの部会がまとめた「意見書」では、一定以上所得の判断基準について次期計画に向けて結論を得る、とされている。

 事務局は75歳以上の単身世帯と夫婦2人世帯について、年収別の収入と支出を示した。これは前回の部会で委員から要望されたデータで、年収を190万円から280万円まで10段階に区切り、それぞれの平均的な消費支出を推計したもの。

 また、世帯主が75歳以上世帯の貯蓄状況も示された。この資料によると、その平均貯蓄額は2007年の1308万円から2022年は1508万円となっている。

 事務局はこうしたデータに基づき、2割負担となる一定所得の判断基準について、介護報酬改定の対応と併せて予算編成過程で検討してはどうか、との案を提示した。

 部会としての方向性がまとまらず、いわば予算編成過程に投げてしまうような結論を事務局が提案したことに、委員の多くは反発した。「部会の存在意義を問われる。極めて遺憾で、今後はこういうことのないように」と厳しい発言も出された。

 また、負担能力は収入(フロー)だけでなく貯蓄(ストック)にも着目して判断すべき、と複数の委員が指摘した。

 ただし事務局が示した、世帯主75歳以上の平均貯蓄額が1500万円である、とのデータに対しては「平均では意味がない。むしろ世代間対立をあおる」「平均値でなく中央値を示すべき」「貯蓄分布を見ると、『貯蓄がない』と『3000万円以上』が最多」といった批判や指摘が相次いだ。

 この議論の最後には、事務局の担当課長が2人、長期化した挙句に結論を予算編成過程に委ねることとなった異例の事態を陳謝する一幕もあった。

 給付と負担をめぐっては利害が明確で、負担増の決定は困難だ。ある委員は「介護保険制度は日本が強かった時代に作った制度であり、財政的にもこのまま続けていくことが可能か、判断しなければいけない時期。高齢者が増え、若年者は減る。どこからかお金が出てくるわけではない。すべて介護保険に依存するのではなく、他のサービスでできることを見直すべき。2割負担ということは、8割が保険によって賄われているということ」と述べた。

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 これは利用者負担が2割となる基準で、現行制度では年金収入+その他の合計所得が年280万円以上340万円未満である(単身世帯の場合)。340万円以上は「現役並み所得」とされ、3割負担だ。
 
 介護保険制度の持続可能性確保のためにその基準を拡大し、2割・3割負担となる層を広げるかどうか。
 
 具体的には、「一定以上所得(2割負担)」の下限を260万円~230万円の範囲で引き下げる案が示され、長く議論されてきたが、決着には至らなかった。「現役並み所得」の判断基準は「引き続き検討を行う」と、期限も示されなかった。
 
 そのほか、軽度者への生活援助サービスを給付から切り離して総合事業に移行する案も結論は出ず、「引き続き包括的に検討する」となった。

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 「拡大すべきでない」論者の意見は、
 
 ・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
 
 ・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
 
 ・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
 
 などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。

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 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

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