中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は10月27日、来年度の診療報酬改定に向け歯科訪問診療などをテーマに議論を行った。
歯科訪問診療については、診療時間が20分未満の場合や同一の建物に居住する患者数によって減算となること、歯科訪問診療料の算定回数が都道府県によって大きなばらつきがあること、病院歯科による在宅歯科医療支援・地域連携などが課題となっている。
さらに、単独訪問に不安を感じる歯科衛生士が多いこと、終末期がん患者への訪問口腔衛生指導の評価のあり方、医療的ケア児に歯科訪問診療を行っている歯科診療所が少ないなども課題となっており、これらに対し診療報酬でどう評価していくかが論点として示された。
このうち、診療時間が20分未満であることに対しては、長く口を開けていられない患者がいることやコロナ禍で短時間治療が求められたことなどによるとして、時間要件の見直しを求める意見が委員から出された。
病院歯科と歯科診療所の連携については、そもそも歯科がある病院が少ないことを指摘した上で、病院歯科はかかりつけ歯科医の後方支援をする役目を担うべきとの考えが示された。
歯科衛生士の訪問については、ハラスメントを受けた歯科衛生士が一定数いることに加え、委員から認知症患者などで歯科衛生士1人では対応できないケースもあることから、複数人での訪問を評価する仕組みを求める声があった。
また、医療的ケア児への歯科訪問診療に関しては、高齢者と異なるリスクや難しさがあるため、医療機関との連携が必要との意見や、医科でも対応が難しいケースがあるといった意見が述べられていた。