中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)薬価専門部会は2月8日、塩野義製薬の新型コロナ経口薬「ゾコーバ」の薬価算定について、日本製薬団体連合会・米国研究製薬工業協会(PhRMA)・欧州製薬団体連合会(efpia)から意見を聞いた。
3団体の代表とも薬価収載後の市場拡大再算定について意見を述べたものの、複数の類似薬を比較薬として「類似薬比較方式」により薬価を算定することに関しては異論が出なかった。
ただ、日薬連からは感染症治療薬の特殊性や塩野義の意見を十分踏まえた上で薬価を算定することを求める考えが示された。
薬価収載後の市場拡大再算定については、既存のルールのうち年間市場規模が1000億円超、1500億円超の場合の特例に基づく算定式により薬価の引き下げ額を計算すること、市場急拡大に対応するため3カ月間のデータの推計により判断することなどが提案されている。
これに対し、日薬連から令和4年度薬価制度改革の骨子で、高額医薬品は「年間1500億円の市場規模を超えると見込まれる品目」とされていることから、再算定の対象は1500億円超の場合に限るべきとの意見が出された。
一方、PhRMAは、感染が急縮小して実際の年間販売額が推計値に達しない可能性もあるため、直近3カ月の市場規模を4倍にして年間販売額を推計する方法は過大となる可能性があり、実際の年間販売額合計で再算定の適用を判断すべきとした。
efpiaはゾコーバに対する再算定により、⽇本ではどのような⾰新的な医薬品も実質的に1500億円が市場規模の限界と見られるようになるとの懸念をぢ示し、今回の方針はゾコーバに限った対応とすべきと指摘した。