社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)医療保険部会は10月13日、出産育児一時金、医療費適正化計画の見直しなどについて議論した。
1994年、それまでの「分娩費」と「育児手当金」を廃止して創設された出産育児一時金は、現在、原則42万円が支給される。創設から30年近く経過し、実態をふまえた支給額の検討などが課題となってきた。
出産費用やその内訳といったデータが提示され、私的施設は高額の傾向があることや、都道府県別の費用が明らかとなった。
出席した委員からは、「費用やサービスの見える化を進めてルールの明確化を」「実態に即して引き上げるべき」などの意見が出された。
費用に対しては現在、後期高齢者医療制度からの拠出はない。医療保険制度全体で支え合うことについて、委員の意見は「後期高齢者の負担は反対」「後期高齢者も参画を」と分かれた。
現在、第3期医療費適正化計画(2018-23年度)の5年目である。今期計画の進捗状況について、特定健診・特定保健指導の実績や、後発医薬品の使用促進が取り上げられた。
医療資源の投入量として白内障手術が例示され、その外来実施割合をOECD加盟国と比較すると、カナダ・アイスランド・オランダは100%、ほか22カ国が90%台で、日本は下から4番目の55%となっていた。都道府県別でも、最高が90%、最低が32%とばらつきが大きく、資源の偏在を窺わせる。
委員からは、「後発薬がない病気もあるし、後発薬の供給不足も深刻」「白内障の外来手術の地域差は一概に語れない。丁寧な調査が必要」などの意見が出された。
特定健診の効果については、「医療費適正化の効果が出てきた。エビデンスの蓄積を」との意見と、「特定健診の効果は疑問。分析・検証が必要」との意見に分かれた。
医療DX推進本部についても話し合われた。デジタル相が同日公表した、現行保険証の廃止・マイナカードへの統一について、「医療DX推進の観点から方向性は賛成」「端末などインフラ整備が大前提。事務負担増を懸念」などの意見が出された。