社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)障害者部会は6月13日、障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しに関する報告書案を承認した=写真。
報告書案は基本的な考え方として、「障害者が希望する地域生活を実現する地域づくり」「社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応」「持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現」の3つを掲げた。
その上で「障害者の居住支援」「障害者の相談支援等」「障害者の就労支援」「精神障害者等に対する支援」「障害福祉サービス等の質の確保・向上」「制度の持続可能性の確保」「居住地特例」「高齢の障害者に対する支援」「障害者虐待の防止」「地域生活支援事業」「意思疎通支援」「療育手帳の在り方」「医療と福祉の連携」の11項目について、今後の取り組みを示した。
このうち障害者の居住支援では、グループホームでの継続的な支援を希望する人にはこれまで通りグループホームを利用できる仕組みとする必要があるとする一方、一人暮らしに向けた支援を目的とする新たなグループホームのサービス類型を検討すべきとの考えが盛り込まれた。
障害者の相談支援等に関しては事業の中立・公正性の確保のための方策や基幹相談支援センターのさらなる設置促進など、就労支援については障害者への就労アセスメントの手法を活用した支援の制度化などが打ち出された。
精神障害者等に対する支援では、精神障害者に加え精神保健に関する課題を抱える人に対しても自治体が相談支援を行うことができる旨を法令上規定することや、医療保護入院を見直す方針が示された。
また、虐待防止に関しては精神科医療機関での虐待行為の早期発見、再発防止に資する実効的な方策となるよう制度化に向けた具体的な検討を行うべきとした。
そのほか、障害福祉サービスの質の評価に関する仕組みの検討、高齢の障害者に対する障害福祉サービスの支給決定に係る運用の明確化、制度の持続可能性や意思疎通支援におけるICTなどの活用の推進なども求めている。
なお、今年8月には国連・障害者権利委員会による対日審査が予定されており、こうした国際的な動きや障害者基本法など関連する国内法の動きに対応して見直しをする必要性についても指摘した。