メディカルとフィットネスを融合したリハビリ 緊急事態宣言下でも提供〔ルネサンス〕🆕

2021年 6月 30日

 全国でスポーツクラブを運営するルネサンスは、2012年に介護リハビリ事業を開始した。その中核事業であるリハビリに特化したデイサービス「元氣ジム」では、利用者の身体機能低下を防ぐため、緊急事態宣言下でも万全の感染防止対策を施して営業を継続した。

メディカルとフィットネスを融合
 元氣ジムの特徴は、メディカルとフィットネスの融合をコンセプトにしていること。メディカルの部分は理学療法士が常駐し、利用者一人ひとりの疾患や身体機能を評価した上でプログラムを立案するため、疾患に対応したオーダーメイド的なメニューになっている。

 一方、グループエクサイズやマシンを使ったトレーニングでは、ルネサンスが約40年間培ってきたフィットネスの要素を取り入れ、運動を続ける楽しさを提供している。

橋本剛01

       橋本剛次長

 つまり、理学療法士と1対1で取り組む疾患に対応した個別リハビリと、フィットネスの要素を取り入れた楽しい運動を組み合わせることで、継続して利用してもらうことを狙いとしている。

 実際、「利用者の出席率が85%以上と高いのは、フィットネスの要素が寄与している」とルネサンス・アクティブエイジング部の橋本剛次長は考えている。

 コンテンツは4つに分けられる。まずグループで行うウォーミングアップ。ここではストレッチや筋力トレーニングなどを行うが、同社が開発した「2つのことを同時に行う」「左右で違う動きをする」といった普段慣れない動きで脳に適度な刺激を与え、脳の活性化を図る「シナプソロジー」を絡め、認知機能に対してもアプローチする。

 次に理学療法士による個別リハビリ、そして、6~8人で行う天井から吊るされた赤いロープ「レッドコード」を使用した神経と筋を活性化するエクササイズ、最後に空気圧を使ったマシンを使用しての筋力増強エクササイズ。この4つを組み合わせて提供する。

 クラスは土日を除く午前・午後の2部構成で、要介護の人は1回3時間、要支援の人は市区町村によって異なるが、90分が主流。利用者は週1回が5割で、2回が4割程度、3回が1割程度となっている。回復期病棟を退院したばかりの人の場合、期間限定で週3回通所することが多いそうだ。

 ほとんどの人が、例えば要介護度が改善しても身体機能維持を目的として通い続けるが、中にはルネサンスのフスポーツクラブに移行する人もいる。

 コロナ禍では緊急事態宣言下でもデイサービスは可能な限り営業することが行政から求められる一方、社内では運営を続けるべきか休むべきか議論があった。

        レッドコードを使用したエクササイズ

 この点について、経営企画部パブリックリレーシヨンチームの村角英理子課長は「リハビリは期間が空くと1からやり直さなければならないことや、利用者・ケアマネジャーからできる限り営業してほしいという声があったこと、社会的意義のある事業であることなどから、継続してやるべきだと判断し運営を継続した」と述べている。

既存施設への不満から立ち上げ
 同社が元氣ジムをスタートさせたのは2012年。つまり、元氣ジムの開始が通所介護事業ビジネスの立ち上げとなっている。

 そのきっかけは、当時鎌倉市内の病院に理学療法士として勤務していた橋本次長が、病院で担当していた患者が医療機関でのリハビリから介護保険によるリハビリに移行した際に介護保険によるリハビリが整備されていない状況に不満があり、再び医療機関でのリハビリを希望する人が多いことに気付いたこと。

 調べてみると、リハビリを謳っているデイサービスでも、レスパイトを主目的にしているところがほとんどだった。そこで病院の同僚とともに、リハビリに特化したデイサービスを開設することを、ルネサンスに提案した。

 介護事業者でなく、スポーツクラブ事業者に提案した理由について、橋本次長は「病院のリハビリ室は重苦しい雰囲気があるため、スポーツクラブのようなところでリハビリをした方が楽しいし来所しやすいのではないか、と感じていたため」と説明している。

 ルネサンスでは、すでに自治体の介護予防事業を受託するとともに、体力の低下などの理由でスポーツクラブに通えなくなった高齢者に対して、新たなサービスの必要性を感じていたことから橋本次長の提案に応じ、同社に入社した橋本次長とともに、元氣ジムの事業を手掛けることになった。

 1店舗目となる元氣ジム大船を開設するとすぐに定員が埋まり、ニーズがあることが分かったため、開設から7カ月目に2号店を、翌年度には神奈川・東京に立て続けに5店舗を開設した。6月現在、フランチャイズを含め30店舗を設けている。

 また、元氣ジムという名称にしたのは、心身ともに元氣になれるジムというイメージを与えたかったためだ。送迎車にも元氣ジムとしか書いていないのは、特に男性はデイサービスに行くことを嫌がる傾向にあるが、ジムということであれば、違和感なく来所してもらえることが分かったからだという。

グループエクササイズ02

           グループエクササイズ

ニーズに合わせてサービスを拡大
 介護リハビリ事業としては、元氣ジム以外に、訪問看護ステーションをサテライト含め3店舗、小児を対象にした放課後等デイサービス「元氣ジムジュニア」を2店舗、脳卒中の人を対象にしたデイサービス「リハビリセンター」を1店舗、神奈川県を中心に設けている。

 訪問看護ステーションを開設することになったのは、元氣ジムに通っているのは移動能力がある人が多い一方、移動レベルに課題がある人や車いすの人たちからリハビリを希望する声が寄せられていたからだ。そうした人たちに自宅でサービスを提供するため、2014年から開始した。

 脳卒中特化型のリハビリセンターは2018年にスタートした。元氣ジムでは麻痺やしびれなど、脳卒中特有の症状を持つ人に特化したプログラムを構成することが困難だった。

 ただ、そうした人たちがたくさんいたため、トライアルとして脳卒中の後遺症に特化したクラスを土曜日に開きサービスを提供したところ、身体機能の改善が見込めて参加者から好評で、事業の可能性を感じたため、脳卒中に特化したプログラムを提供できる通所介護施設という位置付けで、鎌倉市に開設した。

 元氣ジムジュニアでは、障害を持っていたり、発達障害があったりする子どもを中心にサービスを提供している。

 こうした子どもを持つ親は、周りに迷惑をかけてしまうことを心配して、子どもの運動機会を制限しがちだという。それを知った同社の社員が、そうした子どもにもリハビリの要素を入れながら運動できる場所が必要だと社内提案し、2018年に実現した。現在神奈川県内に2カ所展開している。

 介護リハビリ事業については、今後も拡大していく方針で、元氣ジムについては今年度、すでに3施設のオープンが決まっている。

 このタイミングで新規出店するのは、「既存店舗では去年の前半、コロナへの不安により利用者が半減したものの、10月ごろから運動能力の低下に不安を抱えて自ら戻ってくる人が増え、現在は利用者数がコロナ禍前に戻っている」(橋本次長)ことから、社会的意義と需要があると判断したためだ。

 ただ、いずれの施設も単に数を増やしていこうとしているわけではない。村角課長は「スポーツクラブだけでは健康を届けられない人たちをカバーするのが介護リハビリ事業だと思っている」と述べ、スポーツクラブのあるところに元氣ジムを始めとする施設を開設し、子どもから高齢者まで地域のより多くの人にルネサンスの価値を提供することで、地域を元気にしていくことを念頭に事業の拡大を図っていくとしている。

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