一般社団法人こども宅食応援団が全国で子ども宅食を実施している団体を対象に行った初のアンケート調査で、コロナ禍によりこれまで以上に家庭が孤立し支援が届きにくい状況の中、自治体などが課題・状況を把握できていなかった1268世帯とつながり、アウトリーチ支援で成果がったことが分かった。
その一方で、約半数の団体が国の「支援対象児童等見守り強化事業」を活用できず、財源不足に陥っていることも明らかになった。
こども宅食とは、経済的な困難を抱える家庭に定期的に食品を配送することで関係性を築き、変化をいち早く見つけてさまざまな専門的支援につなぐことで、家庭の状況が悪化するのを防ぐことを目的としている。
調査は3月8~22日に82団体を対象にウエブでアンケートを行い、有効回答数は58団体だった。
成果に関する質問に対する回答では、58団体がこども宅食事業を通じて6339世帯とつながり、そのうち行政や支援機関が課題や状況を把握できず、既存の行政の支援が届いていなかった世帯が1268あり、全体の2割を占めていたことが分かった。
また、こうした家庭を支援できたのは、支援を受けていることを周囲に知られないための配慮や、LINEなど手軽なツールを活用した申し込み方法を用意するなど、利用や申し込みに対する心理的・物理的なハードルを下げる工夫を行ったためであることも判明した。
一方、こども宅食は2020年度の第二次・第三次補正予算で支援対象児童等見守り強化事業の施策の1つとして、自治体の予算で実施できるようになり、第三次補正予算では総額36億円が計上されている。
しかし、調査では同事業を活用している団体は全体の半数程度にとどまり、寄付金などの自主財源で事業を実施している団体が多いことが明らかになった。
その理由としては、新しい制度に対し自治体が活用に慎重になっていること、自治体や地域の支援団体との連携が十分にできていないことなども要因として考えられるとしている。