第16回在宅医療推進フォーラムを開催

2020年 11月 27日

会場風景

シンポジウムではリモートによる登壇者も交え、新型コロナが感染拡大している状況下で、何を変え、何を変えずに守っていかなければならないか、などをテーマに意見を述べ合った

 11月23日、第16回在宅医療推進フォーラムが会場(東京ビッグサイト)とYouTubeライブ配信のハイブリッド形式で開催された(主催は国立研究開発法人国立長寿医療研究センターと公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団、共催は日本在宅ケアアライアンス)。今回のテーマは「Withコロナ時代の在宅医療~暮らしと生きがいを支える~」。

 新型コロナ流行下での開催のため、会場への入場は例年の5分の1以下である150人に制限した。一方でYouTubeライブ視聴者は1500人に上り、合計で過去最多となった。プログラムも例年は朝9時から始まるが、今年は13時スタートと短縮しての開催となった。

 プログラム構成は、基調講演が4、ブロックフォーラムとシンポジウムが各1。一部の演者はリモートでの登壇となった。総合司会はつるかめ診療所の鶴岡優子所長が務めた。

 

 プログラムの最後、シンポジウムのディスカッションでは、座長の日本在宅ケアアライアンス武田俊彦副理事長がシンポジストに「これまでも在宅医療を実践してきて、コロナという大きな問題に直面している。私たちはそんな状況下で、①何を変えていかなければならないか。②逆に、何を変えずに守っていかなければならないか」を問いかけた。シンポジストと指定発言者の答えから、以下に抜粋する。

検温

フォーラムの開催に当たっては、会場に入る際に検温を行うなど、万全のコロナ感染対策を実施した

 ①過度に恐れること、余りに恐れないこと、対応を保健所など誰かに任せきりにすること。(北海道・静明館診療所の大友宣医師)

 ①コロナ前のような訪問診療での長時間の対話を見直し、短時間診療とした。ただし、効率化を求めるあまりに短すぎてもいけない。濃密に対応するところと、効率化する業務と、感染対応を並列に。(新宿ヒロクリニックの英裕雄院長)

 ①意識を変えることが重要。②基本的な感染対策を行いながら人とのつながりを保つ。基本的人権としての移動の自由が公共の利益のために制限されている。入院した場合に尊厳が守られないこともある。これを感染対策とどのように両立させるか。知恵を絞り、試行錯誤しながら積み重ねる。(山形県庄内保健所の蘆野吉和所長)

 ①市民の力を信じて患者力を上げることを働きかける。いわば双方向の医療が必要。自分の健康は自分で守ることができる人を育てていく。②在宅医療を連携してやりながら、人生の軌跡を大切に守ること。(白十字訪問看護ステーションの秋山正子統括所長)

 ②かかりつけ医をもつことがいかに重要か、実感している。日本の医療がいい方向に動くようにムーブメントが起こるといい。(厚生労働省の迫井正深医政局長)

 ①病院ではコロナ以後、入院中のカンファが開かれなくなり、その場しのぎの医療介護が活発になってきている。面会制限のためにケアマネも病院に来なくなって、円滑な退院調整の障害となっている。今、病院は患者さんの暮らしよりも、コロナかコロナでないかばかりを気にしている。地域医療全体があまりにもコロナシフトしすぎていて、それが円滑さを失わせる原因になっている。(沖縄県立中部病院の高山義浩副部長)

 ①介護の現場から感じることを。今、人は近づかないで、話さないで、離れて、となっている。それに慣れてしまうのではないかと不安。これに慣れないようにすること。(ホームホスピス宮崎の市原美穂理事長)

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

製品事故リスク低減評価の新制度を受賞 マツ六🆕

 マツ六(大阪市天王寺区)の「遮断機式手すり」が経済産業省主催の新制度「誤使用・不注意による製品事故リスクを低減した製品に対する表彰・表示制度(+あんしん)」を受賞した。これにより、「(プラス)あんしんマーク」を表示することができるようになった。
 
 同製品は開口部の前や通路の横断など、手すりが途切れてしまう場所でも、開閉式にすることで行きたい場所まで手すりをつなげることを目指している。
 
 今回は手すりの自重による落下を防ぐ緩衝ストップ機構(スイベルヒンジ)が、開閉時にうっかり手を離した場合にも、けがをするリスクを低減するという点が評価された。

鳥取で「Teladoc HEALTH」を活用した病病連携🆕

 PHCホールディングス傘下のウィーメックス(東京都渋谷区)のリアルタイム遠隔医療システム「Teladoc HEALTH」が、鳥取大学医学部付属病院(米子市)と安来市立病院が実施する病病連携で活用されることになった。試験運用が11月から始まり、来年4月からの本格運用を予定している。  同システムは今年4月にウィーメックスが安来市に「企業版ふるさと納税」を活用して寄付したもので、同システムを使った病病連携が実施されるのは鳥取県で初めて。...

転落予兆検知するAI型ナースコールの提供開始

 スマートゲートは見守りシステム(ウェアセーフ v1)に、姿勢検知・転落予兆検知の機能などを追加した「WearSafe(ウェアセーフ)3」の提供を2026年1月から開始する。  AI姿勢検知アプリをカメラに直接搭載するエッジAI型のナースコールシステムとすることで、ベッドからの転落を未然に防ぐリアルタイム通知を実現した。  ナースコールのボタン押し下げ、各種センサー、カメラ映像の姿勢検知などの通知を一元管理し、遠隔から大画面モニターまたはスマホでカメラ映像を遠隔で確認し優先順を考慮して対応できる。  従来のウェアセーフ v1...

病院向け「miramos」の提供開始 コニカミノルタ

 コニカミノルタQOLソリューションズは、AI搭載シフト自動作成サービス「miramos(ミラモス)」の病院向け製品の提供を開始する。  miramosは、スマートフォンで収集したスタッフの希望休日や組み合わせ、夜勤などの勤務形態、人員基準や加算の要件など、複雑・多岐にわたる条件をもとに、特許出願中の技術を使い、AIがシフトを作成するクラウドサービス。...

コミュニティ型資源回収で要介護リスクが低下

 千葉大学予防医学センターの阿部紀之特任研究員らの研究チームが互助共助コミュニティ型資源回収ステーション(コミュニティ拠点)の利用と、高齢者の要介護リスクとの関連を検証したところ、コミュニティ拠点利用者は非利用者に比べ、要支援・要介護リスクが約15%低いことが明らかになった。  さらに、外出機会・人との交流・地域活動への参加機会が増加し、コミュニティ拠点は単なる資源回収ステーションではなく、日常生活に根差した交流の場としての役割を果たしていることを示した。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(12月15-21日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS