医療介護連携SNS「メディカルケアステーション(MCS)」を運営するエンブレースは10月22日、今年6月にリリースした「栄養管理アプリ」が、3400人の利用可能ユーザー(医療介護従事者)登録を突破したと発表した。
同アプリはMCS上で、無料で利用できる追加機能。低栄養の予防や栄養介入を早期に実現するため、患者の栄養状態について評価・スクリーニングを行う。
具体的には、簡易栄養評価表(MNA- SF)に基づいた6つの質問に回答することで、患者の栄養状態を3段階(14点満点)で評価する。スクリーニング結果はMCSの患者グループの医療・介護側タイムラインに表示されるため、栄養介入内容を患者グループのメンバー間で相談・共有でき、低栄養の結果が出た場合など、必要に応じて管理栄養士へ問い合わせることができる。ただし、MCS上で問い合わせることはできない。
現在、日本では高齢患者の低栄養が課題となっており、特に在宅医療患者の約7割は低栄養状態というデータもある。低栄養になると、体重の減少や筋肉量・筋力・気力・認知機能・免疫力・骨密度の低下などが起こり、高齢患者の治療の効果が出にくい、あるいは明確な疾患がないのに体調がすぐれないなどの原因になる。
また、フレイル(加齢とともに心身の活力が低下すること)との関連が強く、フレイルの進行を予防するためにも、低栄養の早期発見と対応が重要になっている。
このような課題を解決するため、エンブレースは高齢患者の栄養状態を早期に発見し、必要に応じて栄養介入を実現する栄養管理アプリの提供を開始。このほど、医療介護従事者の利用可能登録ユーザーが3400人を超え、300施設以上の多職種の人に利用してもらうまでに成長した。
同アプリを利用している東京・豊島区の土屋淳郎・土屋医院院長は「これまで医師は経腸栄養剤を出す以外の武器を持っていなかったが、そこに管理栄養士さんがアドバイスをプラスしてくれるので助かる。医師はこれによって栄養について学ぶことができるし、栄養管理に不慣れでも、他のスタッフとみんなで意思共有しながら対策を取れるのがいい」と話している。