厚生労働省が8月31日に公表した昨年度の医療費の年度集計結果によると、概算医療費は42兆2000億円で、対前年比3.2%減、金額で1兆4000億円減となり、過去最大の減少幅となった。新型コロナウイルスの影響による受診控えなどが影響した。
医療費の減少は高額薬剤などの薬価引き下げなどがあった2016年度以来4年ぶり。下げ幅としては、これまで最大の下げ幅だった、介護保険制度が発足した2000年度の約6000億円減を大きく上回った。
疾病別の外来医療費では「呼吸器系の疾患」が29.3%減と減少幅が最も大きく、医療費全体の伸び率に対する影響度で見ても過半を占めた。
年齢別では、入院・外来ともに「0歳以上 5歳未満」「5歳以上 10歳未満」などの若年層の減少幅が大きかった。特に0歳以上 5歳未満の外来は23.8%減となった。
延べ受診者数を示す受診延べ日数は、8.5%減。入院が5.8%減であるのに対し、外来が10.1%減となっており、受診控えの影響を示している。中でも小児科(31.5%減)、耳鼻咽喉科(24.4%減)の減少幅が大きかった。
概算医療費は医療費の動向を迅速に把握するため、医療機関からの診療報酬の請求(レセプト)に基づいて、医療保険・公費負担医療分の医療費を集計したもの。労災・全額自費などの費用を含まず、国民医療費の約98%に相当する。