神戸市は6月29日、「ひきこもり支援室」を開設してから約1年間の相談件数が2516件だったと発表した。
同市はひきこもりに対する要支援者が約6600人いると推計し、「神戸ひきこもり支援室」を昨年2月3日に開設。ワンストップの相談窓口として、背景にある健康や就労、教育、住居などの問題にも関係部局・機関と連携して対応してきた。
今年3月までの約1年間の相談件数2516件のうち、半数程度が支援室と分室を直接訪れ、その次に電話での相談が多かった。
初回相談時は家族からの相談が92%、本人による相談は8%だったが、継続相談後は本人による相談が22%と14%増加した。継続相談後の変化としては、家族と会話する人が56%から61%と5%増えた。
また、継続相談している人のうち、13%に暴力などの問題行動があったが、継続相談後は問題行動が23%減少・消失した。
初回相談時の相談内容としては、本人の場合、「社会復帰したい、働きたい」が40%で最も多かった。支援室では1人でハローワークなどの就職相談窓口に行くことが困難な人に対し、就労の適性を推定し、生活習慣改善支援やストレスマネジメント支援、就労アセスメント支援、就労体験支援などを実施した。その結果、4人が就労できた。
一方、家族などが障害や疾患に気付かず、治療を受けられていないケースがあったことから、専門職チームの派遣を行い、精神科医療の受診を勧めたり、自殺を防止するための対応方法を両親に指導したりするなどの支援を行った。
そのほか、各区役所での定期相談会、家族教室、中学校卒業後支援、ひきこもりサポーター養成講座、支援者向け研修会を実施・開催した。このうち、支援者向け研修会は13回開催し560人が参加している。
今後は家族の居場所開催や農業体験など、就労支援の前段階にあたる社会参加に向けた出口支援のさらなる充実を図るとともに、ひきこもりの現状分析を行い関係機関との連携を進めていく方針だ。