社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)児童部会は6月9日、各専門委員会やワーキンググループの取りまとめなどをめぐってリモートにより議論を行った=写真。
厚労省では子ども家庭福祉に関する資格を新たに創設する方針を示しており、ワーキンググループの取りまとめでは、資格取得に当たり①社会福祉士・精神保健福祉士の養成課程との共通科目を基礎として、子ども家庭福祉分野の専門課程を修了した人に付与する案②社会福祉士・精神保健福祉士に関する資格を持っている上で、子ども家庭福祉分野に関する教育課程を修了した人に付与する案―の2案が提示されている。
この日の児童部会では、家庭福祉に関しては広範な知識が求められることから、宮島清・日本社会事業大学専門職大学院教授や小国美也子・鎌倉女子大学児童学部教授が②の案を推す意見を述べた。
ただ、すでに社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持っている人はいいが、これから新たに家庭福祉に関する専門家を目指すとなるとハードルが高いとして、周燕飛・日本女子大学人間社会学部教授は①と②の2種類があるハイブリッド型を提案した。
子ども・子育て関係の新型コロナウイルス対策については、関連資料として、山野則子・大阪府立大学学長補佐がコロナ禍による子どもへの影響に関する調査結果を提出し、同調査で親は困っていないものの、子どもが困っていたこととして「居場所」があることや、ゲーム依存・性的な問題が増加していることなどが明らかになったことを紹介した。
また、厚労省は児童相談所の児童福祉士の人口当たり配置基準を、人口4万人に1人から3万人に1人に見直すこととし、2022年度までに約5260人の体制とすることを目標としていたが、児童虐待相談件数の増加や自治体の増員状況などを踏まえ、この目標を1年前倒しした。
これについては、前田正子・甲南大学マネジメント創造学部教授が、児童福祉士の業務が増えている一方、経験3年以下の児童福祉士が5割を占め、若手の支援を中堅が行わなければならないことや、現場で燃え尽きて1人前になる前に辞める人が多いなどの課題を挙げ、長く働いてもらうための仕組みや知恵をシェアする必要性を指摘した。
そのほか里親委託や保育士不足、新子育て安心プランなどをめぐり、各委員から多様な意見・疑問が示されていた。