厚生労働省の外国人雇用対策の在り方に関する検討会は5月14日、留学生の国内就職支援と両親が外国籍の子どものキャリア支援などについて関係者からヒアリングを行った。
立命館大学の紀國洋キャリアセンター部長・経済学部教授は、同大の外国人留学生数が5年前の約1.5倍、早期に就職活動準備の開始が必要な大学院生も増加していることなどから、早い段階から就職への取り組みを行っていることを紹介した。
学部生の場合は入学時に進路希望登録を行い、学部1~3回生と大学院1回生では豊富な支援企画やインターンシップに参加してもらう。その後、学部4回生と大学院2回生にマッチング企画と個別支援を行うことで、日本での就職を希望している外国人留学生の約7割の就職を実現した。
また、大学院生や、英語による入試で入学し履修コースも英語の英語基準学生の増加、新型コロナウイルスによる就職環境の悪化といった課題に対応するため、ハローワーク梅田と外国人留学生の国内就職支援に関する協定を締結。入学から卒業後まで官学協力して学生をサポートすることや、企業との新たなネットワーク構築を図っていくことを紹介した。
⼀般社団法⼈グローバル⼈財サポート浜松の堀永乃代表理事は、定住外国⼈の子どもに対するキャリア⽀援を説明した。
静岡県内で⽇本語指導が必要な⾼校⽣の卒業後の進学率は42%にとどまり、⾮正規就職率が40%になっているなどの現状を示し、静岡県の委託事業として、昨年11月から今年3月まで、ブラジル人学校2校の高校1~3年生に100時間の日本語教育と10時間のキャリア教育、3日間のインターンシップ体験などを実施したことを紹介した。
これにより課題も多く出たが、⽣徒たちは「⽇本語会話が上⼿になった」「ライフプランについて考えることができた」と総じて満⾜していることが分かった。
その上で、外国⼈の就労⽀援のポイントとして、ステークホルダーをしっかり巻き込むことや、⽇本語教育は⽂法の完璧さよりも良好な⼈間関係を作るツールであると認識すること、企業側の受け⼊れ環境の整備も必要なことを指摘した。
神奈川県行政書士会国際部の笠間由美子副部長は、 外国籍の子どもの在留資格と就職に関する同会の取り組みを紹介した。
情報発信・相談対応・県や市区町村などへの連携の呼びかけを行っており、中でも情報発信では、独自に作成した外国人の子どもの高校卒業後の「在留資格&進路」フローチャートにより、進学や就職に必要な資格の変更・取得などが簡単に分かるような工夫をしていることを説明した。
このほか、情報発信では学校の先生や支援者向けセミナーの開催、相談対応では外国人無料電話相談、外国籍の子ども向け相談会などを実施していることを紹介した。