外国人雇用対策でヒアリング 厚労省検討会

2021年 5月 17日

 厚生労働省の外国人雇用対策の在り方に関する検討会は5月14日、留学生の国内就職支援と両親が外国籍の子どものキャリア支援などについて関係者からヒアリングを行った。

 立命館大学の紀國洋キャリアセンター部長・経済学部教授は、同大の外国人留学生数が5年前の約1.5倍、早期に就職活動準備の開始が必要な大学院生も増加していることなどから、早い段階から就職への取り組みを行っていることを紹介した。

 学部生の場合は入学時に進路希望登録を行い、学部1~3回生と大学院1回生では豊富な支援企画やインターンシップに参加してもらう。その後、学部4回生と大学院2回生にマッチング企画と個別支援を行うことで、日本での就職を希望している外国人留学生の約7割の就職を実現した。

 また、大学院生や、英語による入試で入学し履修コースも英語の英語基準学生の増加、新型コロナウイルスによる就職環境の悪化といった課題に対応するため、ハローワーク梅田と外国人留学生の国内就職支援に関する協定を締結。入学から卒業後まで官学協力して学生をサポートすることや、企業との新たなネットワーク構築を図っていくことを紹介した。

 ⼀般社団法⼈グローバル⼈財サポート浜松の堀永乃代表理事は、定住外国⼈の子どもに対するキャリア⽀援を説明した。

 静岡県内で⽇本語指導が必要な⾼校⽣の卒業後の進学率は42%にとどまり、⾮正規就職率が40%になっているなどの現状を示し、静岡県の委託事業として、昨年11月から今年3月まで、ブラジル人学校2校の高校1~3年生に100時間の日本語教育と10時間のキャリア教育、3日間のインターンシップ体験などを実施したことを紹介した。

 これにより課題も多く出たが、⽣徒たちは「⽇本語会話が上⼿になった」「ライフプランについて考えることができた」と総じて満⾜していることが分かった。

 その上で、外国⼈の就労⽀援のポイントとして、ステークホルダーをしっかり巻き込むことや、⽇本語教育は⽂法の完璧さよりも良好な⼈間関係を作るツールであると認識すること、企業側の受け⼊れ環境の整備も必要なことを指摘した。

 神奈川県行政書士会国際部の笠間由美子副部長は、 外国籍の子どもの在留資格と就職に関する同会の取り組みを紹介した。

 情報発信・相談対応・県や市区町村などへの連携の呼びかけを行っており、中でも情報発信では、独自に作成した外国人の子どもの高校卒業後の「在留資格&進路」フローチャートにより、進学や就職に必要な資格の変更・取得などが簡単に分かるような工夫をしていることを説明した。

 このほか、情報発信では学校の先生や支援者向けセミナーの開催、相談対応では外国人無料電話相談、外国籍の子ども向け相談会などを実施していることを紹介した。

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2割負担は先送り 介護保険部会が「意見」🆕

 第133回社会保障審議会介護保険部会が12月25日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見」が確定した。
 
 議論が続いた「一定以上所得」の判断基準については、第10期介護保険事業計画(2027~29年度)の開始前までに結論を得ることとなった。
 
 これは利用者負担が2割となる基準で、現行制度では年金収入+その他の合計所得が年280万円以上340万円未満である(単身世帯の場合)。340万円以上は「現役並み所得」とされ、3割負担だ。
 
 介護保険制度の持続可能性確保のためにその基準を拡大し、2割・3割負担となる層を広げるかどうか。
 
 具体的には、「一定以上所得(2割負担)」の下限を260万円~230万円の範囲で引き下げる案が示され、長く議論されてきたが、決着には至らなかった。「現役並み所得」の判断基準は「引き続き検討を行う」と、期限も示されなかった。
 
 そのほか、軽度者への生活援助サービスを給付から切り離して総合事業に移行する案も結論は出ず、「引き続き包括的に検討する」となった。

制度見直しの議論続く 介護保険部会🆕

 第132回社会保障審議会介護保険部会が12月22日に開かれ、前回に続き「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 今回提示された案では、「一定以上所得の判断基準」について、これまで同様、年金収入+その他の合計所得を「年260万円~230万円の範囲」とした。まだ具体的な方向は見えない。委員の中には「2割負担の対象を拡大すべきでない」との意見も根強い。
 
 「拡大すべきでない」論者の意見は、
 
 ・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
 
 ・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
 
 ・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
 
 などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。

2割負担、ケアマネジメントの在り方は 部会

 第131回社会保障審議会介護保険部会が12月15日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 「介護保険制度の見直しに関する意見」は2022年12月に“第1弾”が公表されている。このとき結論が出されなかった、〈「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準〉〈補足給付の在り方〉〈ケアマネジメントに関する給付の在り方〉〈軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方〉などについて、これまで部会で議論が続けられた。
 
 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

訪問介護の倒産止まらず 報酬引き下げなど響く

 東京商工リサーチの調査によると、訪問介護事業者の2025年の倒産(負債1000万円以上)が11月末までに85件に達し、これまで最多だった23年67件、24年81件をすでに超え、3年連続で最多を更新した。  人手不足や24年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに加え、人件費やガソリン代、運営コストの上昇が要因と見込まれる。  25年の訪問介護事業者の倒産は11月末までに85件(前年81件)で、3年連続で年間最多を更新した。...

2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会

 第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
 
 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

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