当事者が支援策など提示 ヤングケアラーPT

2021年 4月 26日

 厚生労働省と文部科学省によるヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームは4月26日、第3回会合を開催し、当事者・支援者からヒアリングを行った。

 ヤングケアラーのコミュニティ運営と啓蒙活動を中心に活動を行っているYancle communityの宮崎成悟代表は、16歳の頃から30歳を過ぎた現在まで難病で寝たきりの母親の介護をしている。

 宮﨑代表はヤングケアラーについて、自分が介護をしているという認識がないことや悩みをうまく言語化できないこと、漠然とした悩みはあるが、特段つらいと感じていないことで、自分の置かれた状況の説明が難しいことを指摘した。

 ヤングケラーに必要なのは、学校での発見と福祉へのアクセス、相談先を設置して心理的ケアを行うことを挙げた。また、家族へのケアは18歳以上になっても続くとして、相談先の設置と、当事者同士のつながりをつくること、企業の意識改革を行い、介護をしている人が取り残されない就労環境をつくることを求めた。

 精神疾患の親をもつ子どもの会「こどもぴあ」の坂本拓代表も、複雑な思いを子どもが言語化することの困難さを指摘し、その結果、孤立へとつながってしまうのではないかとの見方を示した。

 孤立を防ぐためには、子どもが感じているさまざまな感情を受け取る場や大人との出会い、家族をまるごと支援すること、病気を学ぶ機会が必要だとした。

 聴覚障害のある弟と育った弁護士でインフォメーションギャップバスターの藤木和子理事は、親が1次的ケアラーである場合、きょうだいは2次的ケアラーというみえにくい立場にあることを指摘。支援策として、情報発信と啓発、適切な相談対応と支援、当事者団体との連携・支援を挙げた。

 尼崎市教育委員会事務局学校教育部こども教育支援課の黒光さおりスクールソーシャルワーカー(SSW)は、複数の学校を担当し、1つの学校には週に1度しか勤務できないことから、虐待や重い不登校などへの対応で手いっぱいで、幼いきょうだいの世話をしているヤングケアラーの支援にあまり関われていない現状を紹介した。

 支援をする上で、学校はヤングケアラーの存在に気付きやすく、一番近くで支援できる場所であることから、そこに福祉の視点を持つSSWが入ることにより、いちはやくヤングケアラーの気持ちやニーズに寄り添うことができるとした。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

23年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円

 厚生労働省によると、介護給付費と自己負担額を合わせた2023年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円で、前年度に比べ約3227(2.9%)増え過去最多となった。  介護サービス費は11兆2146億円で、同3066億円(2.8%)増、介護予防サービス費は2993億円で同161億円(5.7%)増えた。  受給者数は介護サービスが566万6500人で同7万4900人(1.3%)の増加、介護予防サービスは124万4600人で同5万9900人(5.4%)増えている。...

高齢者数が過去最多、高齢化率は200カ国中最高に

 総務省がまとめた65歳以上の高齢者人口推計によると、「敬老の日」の9月15日時点の高齢者数は3625万人で過去最多となった。総人口に占める割合は29.3%で過去最高となっている。  総人口が前年に比べ59万人減少しているのに対し、65歳以上人口は2万人増加した。この結果、総人口に占める割合は前年に比べ0.2ポイント増加した。  総人口に占める65歳以上人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降、一貫して上昇しており、1985年に10%、2005年に20%を超えていた。...

「高齢社会対策大綱」決定 医療費負担拡大を検討

 政府は6月13日、2018年以来6年ぶりの改定となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定。75歳以上の後期高齢者の医療費について、窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討する方針を示した。  後期高齢者の窓口負担は現在、原則1割、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割負担となっている。これを、年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという観点から、3割負担の対象の拡大を検討することになった。...

6月の訪問介護事業所の廃業が前年に比べ1割増

 厚生労働省の調査によると、6月の訪問介護事業所の廃業数が前年同月に比べ1割増加していることが分かった。4月の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことも一因と見られそうだ。  都道府県・政令市・中核市129自治体に照会し、126自治体から回答を得た。その結果、廃止事業所数は133で、前年同月の119から11.8%増加した。...

今年上半期の介護事業者の倒産件数が過去最多に

 東京商工リサーチの調査によると、今年上半期(1-6月)の介護事業者の倒産件数は81件(前年同期比50.0%増)で、介護保険法が施行された2000年以降、最多件数を更新した。これまでの最多はコロナ禍の2020年の58件だった。
 
 業種別では、訪問介護が40件(同42.8%増)で最も多く、デイサービスなどの通所・短期入所が25件(同38.8%増)、有料老人ホームが9件(同125.0%増)で、主要3業種そろって上半期での最多を更新した。
 
 倒産の理由としては、売上不振が64件(構成比79.0%)と約8割を占めた。利用者の獲得が進まず…

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(9月30-10月6日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS