厚生労働省による全国の中学・高校生を対象に実施したヤングケアラーに関する調査で、公立中学2年生の5.7%、全日制高校2年生の4.1%が家族の世話をしていることが分かった。家族の世話をしている生徒は、していない生徒に比べ、健康状態が良くなく、学校生活に支障が生じていることも明らかになった。
今回が初となる調査は、全国の中学・全日制高校の2年生、定時制高校2年生相当、通信制高校性を対象に、昨年12月から今年2月にかけて行い、中学生5558人、全日制高校生7407人、定時制高校生366人、通信制高校生446人、合計1万3777人から回答があった。
家族の世話をしている定時制高校生は8.5%で、全日制高校生に比べ、やや高い傾向がみられた。
通信制高校生は学年を問わず調査を実施したため、一概に比較することは難しいが、「世話をしている家族がいる」と回答した人が11.0%いた。通信制高校への入学理由や全日制高校をやめた理由として「家族の世話や介護」を挙げた人もおり、家族の世話が進路に影響を与えたことが推察された。
世話に費やす時間については、中学生は平日1日当たり平均4.0時間、全日制高校生は同3.8時間であった。世話に費やす時間が3時間未満の場合は、健康状態について「よくない・あまりよくない」の割合が 7.6%であるのに対し、7時間以上の場合は、「よくない・あまりよくない」の割合が 26%と、長時間のケアが健康状態の悪化をまねく可能性が示された。
また、家族の世話をしている場合、欠席・遅刻・早退が多いことに加え、忘れ物や宿題ができないなどの割合も高くなっていることから、こうした学校生活などでの状況により、ヤングケアラーである可能性が示されるも分かった。
ヤングケアラーの認知度は少しずつ高まっているとはいえ、各市区町村の要保護児童対策地域協議会や学校、家族の世話をしている子ども自身も、正しい理解が進んでいるとは言えないのが現状だ。
兆候が見られる子どもを、学校を中心に早期に発見して関係機関につなぎ、その上で学校や関係機関などが連携し、子どもが子供らしい生活を送れるよう支援策を検討していくことが求められている。