外国人雇用で支援機関からヒアリング 厚労省

2021年 4月 12日

第2回外国人雇用検討会縮小

 厚生労働省の外国人雇用対策のあり方に関する検討会は4月12日、リモートで第2回会合を開催し、新型コロナの影響で困窮する外国人失業者を支援するためのハローワークの対応に関連して、支援活動を実施しているNPO法人と企業からヒアリングを行った=写真

 三重県で活動しているNPO法人愛伝舎の坂本久海子理事長は、この地域に多い日系ブラジル人を中心に支援を行っており、リーマンショック後の2009年から14年まで、JICAと三重県の緊急雇用対策により介護ヘルパー2級の研修を行い、125人がヘルパー2級を取得し、今でも介護の仕事をしている人が多くいることを紹介した。

 現在のコロナ禍でも、建設・運輸で直接雇用のニーズがあり、運送業では荷受け・荷下ろしの際の日本語力と大型免許があれば採用される状況にあるが、建設業は運輸業より求められる日本語能力が高くなるとして、日本語の習得の必要性を訴えた。なお、愛伝舎ではオンラインの日本語学習を行っている。

 東京のNPO法人日越ともいき支援会の活動は、東京の浄土宗寺院・日新窟の前住職がベトナム支援活動を行った1963年にさかのぼる。90年にNPO法人となり、東日本大震災で、ベトナム大使館からの養成で被災したベトナム人を受け入れたことで、在留ベトナム人の間で広く知られるようになった。

 現住職の吉水慈豊代表理事によると、同法人ではベトナム人技能実習生と留学生を中心に支援活動を行っており、コロナ禍の緊急事態宣言により、アルバイトなどがなくなった在留ベトナム人向けに、4000件以上の物資支援を行った。吉水代表理事は支援の要請や相談などは、SNSを通じて行っており、その重要性を指摘した。

 東京で外国人材の紹介と通訳を行っているゴーウェルは、緊急事態宣言で困窮する外国人向けのスペースとして「ゴーウェルタウン銀座」を昨年5月に立ち上げた。松田秀和代表取締役によれば、同スペースを訪れる外国人は、場所・事業の関係で在留資格が留学・技人国の人が85%を占めている。

 支援活動のフェーズ1では給付金情報や在留資格情報などの救済活動、フェーズ2でサークル活動や日本人との交流など孤独対策、フェーズ3で就職相談などの就職支援を実施し、就職につなげていることを紹介した。

 また、フェーズ4では定着支援を行うほか、現在、全国15の金融機関と連携し、地元企業を集めたセミナーで松田代表取締役が外国人雇用の必要性などを述べ、外国人雇用先を開拓していることも説明した。

 会合では委員から3氏に質問が出され、ハローワークとの連携では、坂本理事長はハローワークが民間のイベントに共同で関わること、吉水代表理事はハローワークもSNSを活用する必要があることと、諸手続きを簡素化することを指摘した。

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特例介護の新類型を提案 介護保険部会🆕

 第128回社会保障審議会介護保険部会が11月10日に開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(介護予防・日常生活支援総合事業等)」「地域包括ケアシステムの深化(高齢者向け住まい)」などが議論された。
 
 「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」は、10月に開催された第126回部会で提案された、「特例介護サービス」の新たな類型案について、具体的に提案された。
 
 現行の特例介護サービスは、全国を対象地域とする「基準該当サービス」と厚労大臣が定める地域を対象とする「離島等相当サービス」である。事業者は指定でなく登録、人員配置基準は指定サービスより緩和されている(離島等相当サービスでは人員配置基準の規定はない)。報酬も、介護報酬を基準に市町村が設定する。これらは居宅サービスに適用される。

有料は届出から登録へ 望ましいあり方検討会🆕

 第7回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会が10月31日に開催され、とりまとめ案について議論した。
 
 とりまとめ案は有料老人ホーム(以下、有料)における安全性やサービスの質の確保、入居契約の透明性確保、紹介事業の透明性や質の確保、指導監督や「囲い込み」対策の在り方など多岐にわたる。主な内容を以下に挙げる。
 
 ●中重度の要介護者(要介護3以上)や医療ケアを必要とする要介護者、認知症の人などを入居対象とする有料については、行政の関与により入居者保護を強化するため、登録制を導入。
 
 ●登録制は、公平性の観点から、要件に該当する既存の有料にも適用される。既存の有料が新制度に移行する際は一定の経過措置を設ける。
 
 ●参入後も事業運営の質の維持が求められるため、更新制や更新拒否の仕組みもつくる。行政処分を受けた運営事業者は一定期間、有料の開設が制限される。
 
 ●こうした有料については、高齢者の尊厳の保障やサービスの質の確保の観点から、職員体制や運営体制に関する一定の基準を法令で儲ける。

ケアマネ資格要件など議論 介護保険部会🆕

 第127回社会保障審議会介護保険部会が10月27日に開かれ、「介護人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営改善支援等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」「持続可能性の確保」などが議論された。
 
 「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」では、ケアマネジャーの資格取得要件や業務の在り方について事務局から提案された。
 
 資格要件については、参入促進のため「受験対象である国家資格の範囲拡充」を提案。具体的には診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師が挙げられる。これら5資格の業務などは以下の通り。

中山間地域の訪問介護への定額導入など提案

 10月9日、第126回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」などが議論された。
 
 「人口減少…に応じたサービス提供体制の構築等」の論点は①地域の類型の考え方、②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み、③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、④介護サービスを事業として実施する仕組み、⑤介護事業者の連携強化、⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用、⑦調整交付金の在り方、と多岐にわたる。
 
 以下、①~⑤について事務局からの提案をまとめる。
 
 ①については、サービス需要が減少する「中山間・人口減少地域」ではサービス提供の維持・確保を前提に新たな柔軟化のための枠組みを設ける必要がある。その対象は「特別地域加算」の対象地域が基本となるが、拡充も考えられる。また、市町村の中でもエリアによって人口減少の進み方は異なるため、市町村内の一部エリアも対象とできないか。
 
 「中山間・人口減少地域」は、介護保険(支援)計画の策定時に、都道府県が市町村の意向を確認して決定する。「大都市部」「一般市等」では、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められる。
 
 委員からは、地域類型を定める根拠となる高齢者人口について、「その場合の高齢者とは何歳以上か、定義を定める必要がある」との指摘が相次いだ。
 
 ②は「中山間・人口減少地域」のサービス提供体制の維持・確保のために、特例介護サービスの枠組みを拡張する。新たな類型は下図の赤い部分だ。

介護保険見直しの議論始まる 介護保険部会

 第125回社会保障審議会介護保険部会が9月29日に開かれ、「地域包括ケアシステムの深化、持続可能性の確保」などが議論された。
 
 具体的な論点は①地域包括ケアシステムの実現・深化に向けた支援体制の整備、②医療介護連携の推進、③持続可能性の確保、の3点。
 
 事務局は①について、地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制の構築が重要、との前提で、地域の性格によって課題を以下のように位置づけた。
 
 中山間・人口減少地域…サービス基盤の維持・確保
 都市部…新たな事業者や人材の持続的な確保
 一般市等…前2者それぞれへの対応
 
 そのうえで中山間・人口減少地域では、前回の部会で議論されたサービス提供体制の確保のための方策について、介護保険事業計画に反映することが重要、との方向性を提示する。
 
 さらに、者向け住まいについては、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の議論もふまえ、介護保険部会で議論して整理する。介護予防や人材確保、生産性向上に関する事項も含めて…

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