障害者雇用の特例措置継続求める声多く 分科会

2021年 3月 15日

 厚生労働省は3月12日に開催したリモートで開催した労働政策審議会障害者雇用分科会=写真=で、障害者雇用率の算定に関する特例措置が雇用に与える影響調査の中間報告を行った。

障害者雇用分科会

 会合では使用者代表・障害者代表の委員から、特例措置の継続を求める意見が出されていた。

 特例措置は雇い入れから3年以内、あるいは精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の精神障害者を、週20時間以上30時間未満の短時間で雇用する場合、雇用率算定を0.5ポイントから1ポイントにするもの。

 20時間以上30時間未満は、他の労働時間区分で雇用されば場合に比べ、定着率が高くなる傾向があるとの調査研究を基に設定された。

 今回の報告は、障害者雇用状況調査の二次分析と事業所と特例措置対象者へのアンケート調査の集計・分析を基に実施した。

 障害者雇用状況調査では、特例措置対象者を雇用する企業は精神障害者を雇用する企業全体の2割を占め、特例措置対象者を雇用していない企業に比べ、1000人以上の規模の割合が高いことが分かった。

 また、精神障害のある労働者を雇用する企業全体では、製造業、医療・福祉、卸売・小売業の順で雇用件数が多いのに対し、特例措置適用者を雇用する企業は、医療・福祉、卸売・小売業、製造業の順で多いことが分かった。製造業はフルタイム労働者のみを雇用する企業の割合が高いという背景から、こうした違いが生じると推測される。

 アンケート調査では、特例措置対象者を雇用する事業所の4割程度が、雇い入れなどに当たり「特例措置制度を考慮した」と回答した。

 特例措置制度活用のメリット・デメリットでは「雇用率達成のしやすさ」「定着の見通しの立てやすさ」「無理のない労働時間」でメリットを感じる事業所が半数を超え、「雇用率達成のしやすさ」では7割を超えた。

 一方、雇用されている特例措置対象者は、職務と労働時間については「とても満足」「やや満足」の合計がどちらも7割を超えているが、賃金は「とても満足」「やや満足」の合計が6割弱で、「とても満足」は低かった。

 就業継続については「今の職場で働き続けたい」が6割を超える一方、「今のところわからない」との回答が3割近くあり、将来に対する見通しのつけにくさがうかがえる。

 また、フルタイムへの移行については、移行を望む人が2割強、移行は難しいと考える人が3割強、短時間勤務を続けることを望む人が4分の1ほどで、労働時間を伸ばすことの難しさがうかがえた。

 特例措置は2018年4月から23年3月31日までの暫定措置として実施しており、暫定措置終了後の取り扱いの検討に資するため、短時間雇用の状況や職場の定着状況などを把握するための調査を19年から行っている。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

23年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円

 厚生労働省によると、介護給付費と自己負担額を合わせた2023年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円で、前年度に比べ約3227(2.9%)増え過去最多となった。  介護サービス費は11兆2146億円で、同3066億円(2.8%)増、介護予防サービス費は2993億円で同161億円(5.7%)増えた。  受給者数は介護サービスが566万6500人で同7万4900人(1.3%)の増加、介護予防サービスは124万4600人で同5万9900人(5.4%)増えている。...

高齢者数が過去最多、高齢化率は200カ国中最高に

 総務省がまとめた65歳以上の高齢者人口推計によると、「敬老の日」の9月15日時点の高齢者数は3625万人で過去最多となった。総人口に占める割合は29.3%で過去最高となっている。  総人口が前年に比べ59万人減少しているのに対し、65歳以上人口は2万人増加した。この結果、総人口に占める割合は前年に比べ0.2ポイント増加した。  総人口に占める65歳以上人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降、一貫して上昇しており、1985年に10%、2005年に20%を超えていた。...

「高齢社会対策大綱」決定 医療費負担拡大を検討

 政府は6月13日、2018年以来6年ぶりの改定となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定。75歳以上の後期高齢者の医療費について、窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討する方針を示した。  後期高齢者の窓口負担は現在、原則1割、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割負担となっている。これを、年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという観点から、3割負担の対象の拡大を検討することになった。...

6月の訪問介護事業所の廃業が前年に比べ1割増

 厚生労働省の調査によると、6月の訪問介護事業所の廃業数が前年同月に比べ1割増加していることが分かった。4月の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことも一因と見られそうだ。  都道府県・政令市・中核市129自治体に照会し、126自治体から回答を得た。その結果、廃止事業所数は133で、前年同月の119から11.8%増加した。...

今年上半期の介護事業者の倒産件数が過去最多に

 東京商工リサーチの調査によると、今年上半期(1-6月)の介護事業者の倒産件数は81件(前年同期比50.0%増)で、介護保険法が施行された2000年以降、最多件数を更新した。これまでの最多はコロナ禍の2020年の58件だった。
 
 業種別では、訪問介護が40件(同42.8%増)で最も多く、デイサービスなどの通所・短期入所が25件(同38.8%増)、有料老人ホームが9件(同125.0%増)で、主要3業種そろって上半期での最多を更新した。
 
 倒産の理由としては、売上不振が64件(構成比79.0%)と約8割を占めた。利用者の獲得が進まず…

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(9月30-10月6日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS