中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は2月10日、オンラインで会合を開催し=写真、厚労省が示した医療経済実態調査案を承認した。
新型コロナ感染症の流行下で行われる今回の調査では、前回調査からの主な変更点として、新型コロナ関連の補助金を把握するため、収益の内訳として同補助金の項目と、病院・一般診療所での新型コロナ感染症患者の受け入れ状況に関する項目を追加した。
また、保険薬局について、費用の内訳項目として調剤用医薬品費・一般用医薬品費・建物賃借料を、特定の医療機関と不動産の賃貸借関係がある場合、その不動産の種類を問う項目を付け加えた。
新型コロナの影響で借入金が増えているかどうかを把握するため、すでに項目のある病院以外の一般診療所・歯科診療所・保険薬局についても、資産・負債の中に長期借入金の項目を加えた。
年度調査に加え、単月の収益と費用の項目を設けたが、実施の可否については簡素化した調査票を用意した上で、今後の新型コロナ感染症の状況を踏まえ、春ごろをめどに中医協に諮って決定することになった。
また、調査は3月末までに終了した事業年を対象とするが、決算月の違いにより新型コロナの影響を受ける期間が異なるため、今回は3月決算の施設の損益状況を集計。併せて新型コロナ感染症患者の受け入れ状況別の損益の状況などもまとめる。保険者調査は例年通り実施する。
費用対効果評価制度で専門家不足が露呈
この日の会合では、これ以外に医療機器の保険適用や医薬品の薬価収載、医薬品・医療機器の費用対効果評価の当面の運用などについて厚労省から提案があり、いずれも承認された。
このうち、費用対効果評価は2019年4月から本格的な運用を開始し、14品目の評価が行われているものの、専門組織が評価案を策定して中医協に報告し、中医協が審議して費用対効果の決定を行うことが決まっているが、審議以降の運用はこれまで詳細に示されてはいなかった。
この点について、厚労省は専門組織での評価策定後、速やかに中医協で審議して結果を決定し、対象品目の価格決定を新薬保険収載と四半期算定と同じタイミングで審議して、告示・適用は四半期算定と同様の取り扱いとすることを提示した。
この案に関しては委員から承認が得られたが、現在評価が行われている14品目のうち最初の2品目について、「時間がかかりすぎているのではないか」との疑問が委員から出された。
標準的な期間は企業分析に9カ月、公的分析に3~6カ月、総合的評価と価格決定に3カ月とされている。ただ、この間に3回の専門組織での決定・確認・評価があり、それに時間を要していることが分かった。
その背景には「専門家の確保が厳しい状況にあること」が判明。これに対し、厚労省は昨年4月から教育プログラムをスタートさせ、現在49人が受講しており、このうち21人が3月に終了し、その4分の3が費用対効果の研究に関わっていく考えであることを明らかにした。