19年度の児童虐待相談は19万件 前年度比2割増

2021年 2月 8日

 厚生労働省がまとめた2019年度「福祉行政報告例の概況」によると、同年度中に児童相談所が対応した「養護相談」のうち、児童虐待相談の対応件数は前年度に比べ3万3942 件(21.2%)増加し19万3780件だった。虐待相談件数は増加傾向にあり、5年前に比べると9万494件(87.6%)増となっている。

 虐待を受けた子どもの年齢別増減率では、「16~18 歳」が最も高く、次いで「7~12 歳」。全体に占める割合では「7~12歳」「3~6歳」の順で多く、この2つを合わせると6割近かった。

 相談の種別では、最も多いのが「心理的虐待」で 10万9118件、次が「身体的虐待」の4万9240 件だった。虐待したのは「実母」が47.7%と最も多く、次いで「実父」が41.2%。「実父」の構成割合は年々上昇しており、5年間で4.9ポイント増加した。

 「養護相談」以外も含めた相談件数は、前年度比3万9842件(7.9%)増の54万4698件。相談の種類別では「養護相談」が5割近くを占め、以下、「障害相談」「育成相談」の順だった。

 「養護相談」の構成割合は年々上昇しており、5年前に比べ12.3ポイント増加した。ちなみに、5年前は「障害相談」が最も多かった。

老人クラブは減少続く
 老人福祉関係では、同年度末現在の有料老人ホームを除く老人ホームの施設数は、前年度比174施設(1.3%)増の1万3456施設。定員は同1万670人(1.4%)増の78万7754人だった。

 施設の種類別に定員の増減をみると、「特別養護老人ホーム」が同1万666人(1.7%)増加し、「軽費老人ホーム」と「都市型軽費老人ホーム」も増加した。

 一方、同年度末の老人クラブ数は9万2836で、前年度に比べ2987クラブ(3.1%)減少し、会員数も498万8999人で同25万6724人(4.9%)減少した。

 全国老人クラブ連合会では、2014~18年度に「100万人会員増強運動」を実施したが、老人クラブ数・会員数は年々減少しており、15~19年度の5年間でクラブ数は1万985、会員数は91万7293人減少している。

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特例介護の新類型を提案 介護保険部会🆕

 第128回社会保障審議会介護保険部会が11月10日に開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(介護予防・日常生活支援総合事業等)」「地域包括ケアシステムの深化(高齢者向け住まい)」などが議論された。
 
 「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」は、10月に開催された第126回部会で提案された、「特例介護サービス」の新たな類型案について、具体的に提案された。
 
 現行の特例介護サービスは、全国を対象地域とする「基準該当サービス」と厚労大臣が定める地域を対象とする「離島等相当サービス」である。事業者は指定でなく登録、人員配置基準は指定サービスより緩和されている(離島等相当サービスでは人員配置基準の規定はない)。報酬も、介護報酬を基準に市町村が設定する。これらは居宅サービスに適用される。

有料は届出から登録へ 望ましいあり方検討会🆕

 第7回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会が10月31日に開催され、とりまとめ案について議論した。
 
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 ●中重度の要介護者(要介護3以上)や医療ケアを必要とする要介護者、認知症の人などを入居対象とする有料については、行政の関与により入居者保護を強化するため、登録制を導入。
 
 ●登録制は、公平性の観点から、要件に該当する既存の有料にも適用される。既存の有料が新制度に移行する際は一定の経過措置を設ける。
 
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 ●こうした有料については、高齢者の尊厳の保障やサービスの質の確保の観点から、職員体制や運営体制に関する一定の基準を法令で儲ける。

ケアマネ資格要件など議論 介護保険部会🆕

 第127回社会保障審議会介護保険部会が10月27日に開かれ、「介護人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営改善支援等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」「持続可能性の確保」などが議論された。
 
 「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」では、ケアマネジャーの資格取得要件や業務の在り方について事務局から提案された。
 
 資格要件については、参入促進のため「受験対象である国家資格の範囲拡充」を提案。具体的には診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師が挙げられる。これら5資格の業務などは以下の通り。

中山間地域の訪問介護への定額導入など提案

 10月9日、第126回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」などが議論された。
 
 「人口減少…に応じたサービス提供体制の構築等」の論点は①地域の類型の考え方、②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み、③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、④介護サービスを事業として実施する仕組み、⑤介護事業者の連携強化、⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用、⑦調整交付金の在り方、と多岐にわたる。
 
 以下、①~⑤について事務局からの提案をまとめる。
 
 ①については、サービス需要が減少する「中山間・人口減少地域」ではサービス提供の維持・確保を前提に新たな柔軟化のための枠組みを設ける必要がある。その対象は「特別地域加算」の対象地域が基本となるが、拡充も考えられる。また、市町村の中でもエリアによって人口減少の進み方は異なるため、市町村内の一部エリアも対象とできないか。
 
 「中山間・人口減少地域」は、介護保険(支援)計画の策定時に、都道府県が市町村の意向を確認して決定する。「大都市部」「一般市等」では、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められる。
 
 委員からは、地域類型を定める根拠となる高齢者人口について、「その場合の高齢者とは何歳以上か、定義を定める必要がある」との指摘が相次いだ。
 
 ②は「中山間・人口減少地域」のサービス提供体制の維持・確保のために、特例介護サービスの枠組みを拡張する。新たな類型は下図の赤い部分だ。

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 そのうえで中山間・人口減少地域では、前回の部会で議論されたサービス提供体制の確保のための方策について、介護保険事業計画に反映することが重要、との方向性を提示する。
 
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