障害福祉サービス等報酬改定取りまとめ 厚労省

2021年 2月 5日

 厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームは2月4日、2021年度障害福祉サービス等報酬改定の概要を取りまとめた。昨年末の予算編成過程で決められた全体の改定率プラス0.56%(うちプラス0.05%は新型コロナ感染症対応の特例的評価)の範囲内で各項目を改定した。

 今回の改定は、障害者の重度化・高齢化を踏まえた地域移行・地域生活の支援、相談支援の質の向上、効果的な就労支援、医療的ケア児への支援など障害児支援の推進、感染症への対応力の強化などの課題に対応したものとなっている。

 障害者の重度化・高齢化を踏まえた地域移行・地域生活の支援のうち、グループホームでの重度化・高齢化への対応として、区分4以上の強度行動障害を持つ人を算定対象とした重度障害者支援加算(Ⅱ)や、看護職員を配置した場合の医療的ケア対応支援加算、強度行動障害者体験利用加算などが新設された。

 日中サービス支援型グループホームの基本報酬については、重度障害者受け入れのインセンティブが働くよう、区分6・5・4を1単位ずつ引き上げる一方、区分3を71単位引き下げ、メリハリのある報酬体系に見直した。

 このグループホームの基本報酬の見直しに関しては、アドバイザーから評価する意見が出る一方、軽度の人の入居を減らしていくことになるとして、そうした人たちの行き先を危惧する意見も出されていた。

 相談支援の質の向上では、経営実態が厳しい小規模事業所の基本報酬を大幅に引き上げたほか、事務手続きの負担軽減のため、人員体制に応じた従来の特定事業所加算を基本報酬に組み込み、常勤専従職員の配置促進に向け、これまでより要件を緩和した報酬区分を創設した。従来評価されていなかった計画決定月・モニタリング対象月以外の業務についても、新たに報酬上の評価とした。

 就労支援では、就労継続支援A型の基本報酬の算定に関わる実績について、現行の「1日の平均労働時間」に「生産活動」「多様な働き方」「支援力向上」「地域連携活動」を加えた総合評価で実績とするスコア方式に見直した。就労継続支援B型では、地域協働加算とピアサポート実施加算を新設した。

 これらの改定についても、アドバイザーから高く評価する声があった一方で、ピアサポーターの養成や研修、スコア方式を誰がどう点検するのかといった点などについて、課題や懸念を示すアドバイザーがいた。

 医療的ケア児への支援では、これまで障害児通所サービスの基本報酬で医療的ケア児を直接評価せず、一般児と同じ報酬単価であったため、受け入れの裾野が十分に広がってこなかったとして、「動ける医ケア児」にも対応した新たな判定スコアを使い、医療的ケア児を直接評価する基本報酬を新設するなど、障害児支援を充実させている。

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特例介護の新類型を提案 介護保険部会🆕

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 「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」は、10月に開催された第126回部会で提案された、「特例介護サービス」の新たな類型案について、具体的に提案された。
 
 現行の特例介護サービスは、全国を対象地域とする「基準該当サービス」と厚労大臣が定める地域を対象とする「離島等相当サービス」である。事業者は指定でなく登録、人員配置基準は指定サービスより緩和されている(離島等相当サービスでは人員配置基準の規定はない)。報酬も、介護報酬を基準に市町村が設定する。これらは居宅サービスに適用される。

有料は届出から登録へ 望ましいあり方検討会🆕

 第7回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会が10月31日に開催され、とりまとめ案について議論した。
 
 とりまとめ案は有料老人ホーム(以下、有料)における安全性やサービスの質の確保、入居契約の透明性確保、紹介事業の透明性や質の確保、指導監督や「囲い込み」対策の在り方など多岐にわたる。主な内容を以下に挙げる。
 
 ●中重度の要介護者(要介護3以上)や医療ケアを必要とする要介護者、認知症の人などを入居対象とする有料については、行政の関与により入居者保護を強化するため、登録制を導入。
 
 ●登録制は、公平性の観点から、要件に該当する既存の有料にも適用される。既存の有料が新制度に移行する際は一定の経過措置を設ける。
 
 ●参入後も事業運営の質の維持が求められるため、更新制や更新拒否の仕組みもつくる。行政処分を受けた運営事業者は一定期間、有料の開設が制限される。
 
 ●こうした有料については、高齢者の尊厳の保障やサービスの質の確保の観点から、職員体制や運営体制に関する一定の基準を法令で儲ける。

ケアマネ資格要件など議論 介護保険部会🆕

 第127回社会保障審議会介護保険部会が10月27日に開かれ、「介護人材確保と職場環境改善・生産性向上、経営改善支援等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」「持続可能性の確保」などが議論された。
 
 「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」では、ケアマネジャーの資格取得要件や業務の在り方について事務局から提案された。
 
 資格要件については、参入促進のため「受験対象である国家資格の範囲拡充」を提案。具体的には診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師が挙げられる。これら5資格の業務などは以下の通り。

中山間地域の訪問介護への定額導入など提案

 10月9日、第126回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」などが議論された。
 
 「人口減少…に応じたサービス提供体制の構築等」の論点は①地域の類型の考え方、②地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み、③地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、④介護サービスを事業として実施する仕組み、⑤介護事業者の連携強化、⑥地域の実情に応じた既存施設の有効活用、⑦調整交付金の在り方、と多岐にわたる。
 
 以下、①~⑤について事務局からの提案をまとめる。
 
 ①については、サービス需要が減少する「中山間・人口減少地域」ではサービス提供の維持・確保を前提に新たな柔軟化のための枠組みを設ける必要がある。その対象は「特別地域加算」の対象地域が基本となるが、拡充も考えられる。また、市町村の中でもエリアによって人口減少の進み方は異なるため、市町村内の一部エリアも対象とできないか。
 
 「中山間・人口減少地域」は、介護保険(支援)計画の策定時に、都道府県が市町村の意向を確認して決定する。「大都市部」「一般市等」では、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められる。
 
 委員からは、地域類型を定める根拠となる高齢者人口について、「その場合の高齢者とは何歳以上か、定義を定める必要がある」との指摘が相次いだ。
 
 ②は「中山間・人口減少地域」のサービス提供体制の維持・確保のために、特例介護サービスの枠組みを拡張する。新たな類型は下図の赤い部分だ。

介護保険見直しの議論始まる 介護保険部会

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 事務局は①について、地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制の構築が重要、との前提で、地域の性格によって課題を以下のように位置づけた。
 
 中山間・人口減少地域…サービス基盤の維持・確保
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 そのうえで中山間・人口減少地域では、前回の部会で議論されたサービス提供体制の確保のための方策について、介護保険事業計画に反映することが重要、との方向性を提示する。
 
 さらに、者向け住まいについては、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」の議論もふまえ、介護保険部会で議論して整理する。介護予防や人材確保、生産性向上に関する事項も含めて…

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