保健師の増員は恒常的措置 厚労省

2021年 1月 25日

 厚生労働省の厚生科学審議会・地域保健健康増進栄養部会は1月21日、約11カ月ぶりにオンラインで会合を開催し=写真、次期国民健康づくり運動プランの策定時期と今後の検討の進め方などについて議論した。

 冒頭あいさつを行った正林督章・健康局長は、懸念していることとして、ステイホームで高齢者が家にこもり体をあまり動かさないことを挙げ、感染対策をした上で時には散歩をしたり、軽く運動したりすることをPRしていく必要性を指摘した。会合では最初に部会長の選出を行い、東北大学の辻一郎教授が選ばれた。

健康栄養部会

 この日は①健康日本21(第二次)の最終評価を含め、次期国民健康づくり運動プランの策定時期と今後の検討の進め方②歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の最終評価と次期の基本的事項策定の進め方③地域保健対策の推進に関する基本的な指針の改定を議題とした。

 現在行われている健康日本 21(第二次)は、計画期間が2013年度から22年度の10年間とされている。一方、医療・介護を含めた総合的な取り組みを行うため、18年度から医療費最適化計画・医療計画・介護保険事業支援計画の見直し時期が一致され、24年度から次期計画期間が始まることになっている。

 そこで、これらの計画と時期国民健康づくり運動プランの計画期間を一致させるため、健康日本 21(第二次)の計画期間を1年間延長して最終年度を23年度とし、今年6月ごろから最終評価を行い、来年夏ごろをめどに報告書を作成。続いて次期プランの議論を始め、再来年春をめどに次期プランを公表し、都道府県などが健康増進計画を策定する期間を設けた後、24年度から次期プランを開始する。

 歯科口腔保健の推進に関する基本的事項の最終評価と次期の基本的事項の策定スケジュールも同様となる。

 地域保健対策の推進に関する基本的な指針については、新型コロナ感染拡大により保健所に過度な負担がかかっていることから、指針を見直すことにした。

 保健所で感染症対応業務に従事する保健師数は、現行の全国で約1800人から21年度は約2250人、22年度は約2700人に増やす方針が昨年12月21日に総務省から示されている。

 この増員に対し、「コロナ感染が落ち着いたら元に戻すべき」との意見が出たが、保健師の委員がこれまで減らされてきて「平時でも足りない」と反論し、厚労省からも平時の感染症対策に必要な人数との説明があり、恒常的な措置であることが示された。

 また、緊急時の医師・保健師の確保に関して、自治体の委員から「自治体に依頼されても無理。国のレベルで検討することが必要」「専門性を確保するための研修体制を国として進めてほしい」などの意見が出されていた。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

23年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円

 厚生労働省によると、介護給付費と自己負担額を合わせた2023年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円で、前年度に比べ約3227(2.9%)増え過去最多となった。  介護サービス費は11兆2146億円で、同3066億円(2.8%)増、介護予防サービス費は2993億円で同161億円(5.7%)増えた。  受給者数は介護サービスが566万6500人で同7万4900人(1.3%)の増加、介護予防サービスは124万4600人で同5万9900人(5.4%)増えている。...

高齢者数が過去最多、高齢化率は200カ国中最高に

 総務省がまとめた65歳以上の高齢者人口推計によると、「敬老の日」の9月15日時点の高齢者数は3625万人で過去最多となった。総人口に占める割合は29.3%で過去最高となっている。  総人口が前年に比べ59万人減少しているのに対し、65歳以上人口は2万人増加した。この結果、総人口に占める割合は前年に比べ0.2ポイント増加した。  総人口に占める65歳以上人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降、一貫して上昇しており、1985年に10%、2005年に20%を超えていた。...

「高齢社会対策大綱」決定 医療費負担拡大を検討

 政府は6月13日、2018年以来6年ぶりの改定となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定。75歳以上の後期高齢者の医療費について、窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討する方針を示した。  後期高齢者の窓口負担は現在、原則1割、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割負担となっている。これを、年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという観点から、3割負担の対象の拡大を検討することになった。...

6月の訪問介護事業所の廃業が前年に比べ1割増

 厚生労働省の調査によると、6月の訪問介護事業所の廃業数が前年同月に比べ1割増加していることが分かった。4月の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことも一因と見られそうだ。  都道府県・政令市・中核市129自治体に照会し、126自治体から回答を得た。その結果、廃止事業所数は133で、前年同月の119から11.8%増加した。...

今年上半期の介護事業者の倒産件数が過去最多に

 東京商工リサーチの調査によると、今年上半期(1-6月)の介護事業者の倒産件数は81件(前年同期比50.0%増)で、介護保険法が施行された2000年以降、最多件数を更新した。これまでの最多はコロナ禍の2020年の58件だった。
 
 業種別では、訪問介護が40件(同42.8%増)で最も多く、デイサービスなどの通所・短期入所が25件(同38.8%増)、有料老人ホームが9件(同125.0%増)で、主要3業種そろって上半期での最多を更新した。
 
 倒産の理由としては、売上不振が64件(構成比79.0%)と約8割を占めた。利用者の獲得が進まず…

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(9月30-10月6日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS