厚生労働省の「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会」は1月8日、報告書案を承認した。
対象となるのは医師や歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、介護福祉士、理学療法士など、社会保障に関係する31の国家資格。マイナンバー制度を利活用することで、各種届け出時に求められていた戸籍抄(謄)本などの添付書類の省略や、オンラインでの各種届け出が可能になる。
また、資格管理者側で登録事項の変更を把握できるようになり、資格保有者から届け出がない場合でも、資格管理者側から届け出勧奨や職権修正が可能となるため、手続き漏れによって資格管理簿の更新が滞ることを防ぐことができる。
例えば、資格保有者が死亡した場合、現在は親族などに死亡者の戸籍抄(謄)本や免許証など添付して死亡届を提出することを義務付けているが、死亡届の提出件数は資格保有者数と比較してかなり少なく、資格保有者が死亡しても多くの場合、死亡届が提出されていないと見られる。
これに対し、住民基本台帳ネットワークシステムとマイナンバーによる情報連携によって死亡した資格保有者を把握することで、死亡届の提出がなくても資格管理者が職権で登録の抹消を行い、資格管理簿の正確性を確保することが可能になる。
さらに、マイナンバーカードを保有している資格保有者がマイナポータルを活用して、事業者や利用者に対して、自分の資格情報を電子的に証明あるいは提示することが可能になるほか、事業者が雇い入れた資格保有者の資格の確認、管理を電子的に行うこともできるようになる。
そのほか、看護師を始め人材確保が課題となっている資格の保有者が定期的に届け出る就業状況と連携することで、潜在資格保有者の把握と効果的な就労支援、居住地に応じた人材活用などにもつながる。
今後、18日に開会する通常国会に法案を提出し、2021年度の調査・研究を経て、システム設計・開発を行い、24年度からの運用を目指す。