医療制度改革案を議論 社保審医療保険部会

2020年 12月 18日

 社会保障審議会(厚労相の諮問機関)医療保険部会は12月17日、医療制度改革に向けた「議論の整理案」を議論した=写真。次回の会合で取りまとめる予定。

137回社保審医療保険部会

 前回の会合までに決着がつかなかった後期高齢者の窓口負担割合の見直しについては、15日に閣議決定された全世代型社会保障検討会議の最終報告案で示された、2割負担への引き上げ対象者を、課税所得が28万円以上(所得上位30%、現行3割負担の現役並み所得者を除くと23%)で、年収200万円以上(単身世帯。複数世帯では後期高齢者の年収が320万円以上)とする方針を盛り込んだ。

 また、2割負担への変更による影響が大きい外来患者については執行後3年間、1カ月分の負担増を最大でも3000円に収める措置を導入することになった。

 この見直しに関して、低所得者以外の全ての後期高齢者を対象とすべきと主張していた保険者の委員からは、今後、より幅広い所得層に対象を拡大する方向で検討していくべきとの意見が出された。一方、引き上げに反対していた医師会や歯科医師会、薬剤師会などの委員は、後期高齢者への理解促進や受診控えを避けるため、国から丁寧な説明を行うことを求めた。

 議論の整理案に先立って議論した国民健康保険制度の取り組み強化の方向性案については、法改正などの手続きに対して自治体委員から反対の意見が相次いだ。同案では、都道府県と市町村の役割分担の下での取り組み強化として、法定外繰り入れなどの解消、保険料水準の統一、医療費適正化への取り組み強化が挙げられている。

 このうち、法定外繰り入れと保険料水準については、これらの取り組みを国保運営方針に記載して進める考えが記され、医療適正化も含め結論が得られた事項については、法改正を含めて対応する案が示されている。

 これに対し、自治体委員から「記載するのは議論が拙速になる可能性がある」「取り組みが進みつつある中で法に明記することは、都道府県や市町村の努力に水を差すことにならないか」などの反対意見が述べられていた。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

訪問介護事業者の倒産が10月で年間最多上回る

 東京商工リサーチによると、介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産が1-10月で145件発生し、これまで年間最多だった2022年の143件を上回り、2カ月残して過去最多を記録した。  業種別では、訪問介護72件で23年の67件を抜いて過去最多となった。ヘルパー不足や燃料代などの運営コスト上昇に加え、24年の介護報酬マイナス改定の影響が出ている可能性がある。  訪問介護以外では、通所・短期入所が48件、有料老人ホームが11件、その他が14件だった。...

23年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円

 厚生労働省によると、介護給付費と自己負担額を合わせた2023年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円で、前年度に比べ約3227(2.9%)増え過去最多となった。  介護サービス費は11兆2146億円で、同3066億円(2.8%)増、介護予防サービス費は2993億円で同161億円(5.7%)増えた。  受給者数は介護サービスが566万6500人で同7万4900人(1.3%)の増加、介護予防サービスは124万4600人で同5万9900人(5.4%)増えている。...

高齢者数が過去最多、高齢化率は200カ国中最高に

 総務省がまとめた65歳以上の高齢者人口推計によると、「敬老の日」の9月15日時点の高齢者数は3625万人で過去最多となった。総人口に占める割合は29.3%で過去最高となっている。  総人口が前年に比べ59万人減少しているのに対し、65歳以上人口は2万人増加した。この結果、総人口に占める割合は前年に比べ0.2ポイント増加した。  総人口に占める65歳以上人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降、一貫して上昇しており、1985年に10%、2005年に20%を超えていた。...

「高齢社会対策大綱」決定 医療費負担拡大を検討

 政府は6月13日、2018年以来6年ぶりの改定となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定。75歳以上の後期高齢者の医療費について、窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討する方針を示した。  後期高齢者の窓口負担は現在、原則1割、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割負担となっている。これを、年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという観点から、3割負担の対象の拡大を検討することになった。...

6月の訪問介護事業所の廃業が前年に比べ1割増

 厚生労働省の調査によると、6月の訪問介護事業所の廃業数が前年同月に比べ1割増加していることが分かった。4月の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことも一因と見られそうだ。  都道府県・政令市・中核市129自治体に照会し、126自治体から回答を得た。その結果、廃止事業所数は133で、前年同月の119から11.8%増加した。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(11月18-24日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS