日本の65歳以上過去最多に 就業も16年連続増加

2020年 9月 24日

 総務省の推計によると、敬老の日の9月15日現在の日本の65歳以上の高齢者人口は、前年比30万人増の3617万人で過去最多となった。総人口に占める割合は28.7%で前年に比べ0.3ポイント上昇し、過去最高となっている。

 男女別にみると、男性は1573万人(男性人口の25.7%)、女性は2044万人(女性人口の31.6%)で、女性が男性より471万人多い。女性100人に対する男性の数では、15歳未満で105.0、15~64歳では102.7と男性の方が多いのに対し、65歳以上では77.0と女性の方が多かった。

 年齢階級別では、1947~49年生まれの「団塊の世代」を含む70歳以上人口は、2791万人(総人口の22.2%)で前年比78万人増(0.7ポイント上昇)、75歳以上は1871万人(同14.9%)で24万人増(0.3ポイント上昇)、80歳以上は1160万人(同9.2%)で36万人増(0.3ポイント上昇)となった。

 一方、2019年の高齢者の就業者数は、04年以降、16年連続で増加し、892万人で過去最多となった。15歳以上の就業者数に占める高齢就業者の割合も、13.3%と過去最高となっている。高齢就業者数の対前年増減では、団塊の世代の高齢化などを背景に、13~16年は主に65~69歳で増加、17年以降は団塊の世代が70歳になり始めたことなどにより、主に70歳以上で増加している。

 19年の高齢者の就業率を年齢階級別にみると、19年は65~69歳で48.4%、70歳以上で17.2%。65~69歳の就業率は、14年に男性が50%、女性は30%を超えた後、一貫して上昇している。

 主な産業別では、卸売業・小売業で働く高齢者が126万人で最も多く、次いで農業・林業が108万人、サービス業(他に分類されないもの)が103万人、製造業が94万人などとなった。

 なお、各産業の就業者に占める高齢就業者の割合は、農業・林業が52.2%と最も高く、次いで不動産業・物品賃貸業が26.4%、サービス業(他に分類されないもの)が22.6%、生活関連サービス業・娯楽業が18.2%など。

 高齢就業者を従業上の地位別にみると、役員を除く雇用者が503万人で高齢就業者の56.9%、自営業主・家族従業者が273万人で同30.9%、会社などの役員が108万人で同12.2%。さらに、高齢就業者のうち役員を除く雇用者を雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員が77.3%を占めており、そのうちパート・アルバイトの割合が52.7%と最も高くなっている。

 主要国の高齢者の就業率を10年前と比較すると、日本(5.3ポイント上昇)、カナダ(4.3ポイント上昇)を始め、各国とも上昇している。19年の日本の高齢者の就業率は24.9%で、米国(19.6%)、カナダ(14.3%)、英国(10.7%)などに比べ、主要国の中でも高い水準にある。ちなみに主要国の中で、日本より高齢者の就業率が高いのは韓国で32.9%である。

 高齢者の就業を7月まで月別にみると、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、高齢就業者数は前年同月に比べ4月に減少したものの、5月以降増加。また、就業率についても、6月以降上昇しており、就業者数と同様に4月を底に改善傾向が見られている。

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2割負担は先送り 介護保険部会が「意見」🆕

 第133回社会保障審議会介護保険部会が12月25日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見」が確定した。
 
 議論が続いた「一定以上所得」の判断基準については、第10期介護保険事業計画(2027~29年度)の開始前までに結論を得ることとなった。
 
 これは利用者負担が2割となる基準で、現行制度では年金収入+その他の合計所得が年280万円以上340万円未満である(単身世帯の場合)。340万円以上は「現役並み所得」とされ、3割負担だ。
 
 介護保険制度の持続可能性確保のためにその基準を拡大し、2割・3割負担となる層を広げるかどうか。
 
 具体的には、「一定以上所得(2割負担)」の下限を260万円~230万円の範囲で引き下げる案が示され、長く議論されてきたが、決着には至らなかった。「現役並み所得」の判断基準は「引き続き検討を行う」と、期限も示されなかった。
 
 そのほか、軽度者への生活援助サービスを給付から切り離して総合事業に移行する案も結論は出ず、「引き続き包括的に検討する」となった。

制度見直しの議論続く 介護保険部会🆕

 第132回社会保障審議会介護保険部会が12月22日に開かれ、前回に続き「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 今回提示された案では、「一定以上所得の判断基準」について、これまで同様、年金収入+その他の合計所得を「年260万円~230万円の範囲」とした。まだ具体的な方向は見えない。委員の中には「2割負担の対象を拡大すべきでない」との意見も根強い。
 
 「拡大すべきでない」論者の意見は、
 
 ・医療ではOTC類似薬への新たな負担など、高齢者の負担増が確実。介護でも負担増は避けるべき
 
 ・負担増から利用控えが起こると、子世代にしわ寄せがくる。介護離職が増えるのでは
 
 ・現役世代の負担軽減は重要だが、サービスを使えなくなった親を子が援助すれば結局子の負担は増える
 
 などがある。持続可能性を高めるには被保険者の範囲や公費負担も見直すべき、との意見もあった。

2割負担、ケアマネジメントの在り方は 部会

 第131回社会保障審議会介護保険部会が12月15日に開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」などが議論された。
 
 「介護保険制度の見直しに関する意見」は2022年12月に“第1弾”が公表されている。このとき結論が出されなかった、〈「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準〉〈補足給付の在り方〉〈ケアマネジメントに関する給付の在り方〉〈軽度者への生活援助サービスに関する給付の在り方〉などについて、これまで部会で議論が続けられた。
 
 これらは「次期計画に向けて得ることが適当」「第10期計画の開始までに出すのが適当」「引き続き検討」とされた。次期計画とは現在の第9期(2024-26年度)、第10期は27-29年度である。
 
 「一定以上所得の判断基準」は「次期計画に向けて」だったが、まだ決着していない。2割負担の拡大、すなわち適用される所得の引き下げにつながることから、反対意見が根強かった。現行制度では、2割負担となる所得基準は年280万円以上だ。これをどこまで引き下げるか。年260万円~230万円の範囲が提案されている。
 
 引き下げ幅が大きいほど、2割負担となる人は増える。ただ引き下げと同時に「配慮措置」も提案されている。①新たに負担増となる場合、増加の上限を月額7000円とする、②預貯金等が一定額以下の人は申請により1割負担に戻す、の2つだ。

訪問介護の倒産止まらず 報酬引き下げなど響く

 東京商工リサーチの調査によると、訪問介護事業者の2025年の倒産(負債1000万円以上)が11月末までに85件に達し、これまで最多だった23年67件、24年81件をすでに超え、3年連続で最多を更新した。  人手不足や24年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに加え、人件費やガソリン代、運営コストの上昇が要因と見込まれる。  25年の訪問介護事業者の倒産は11月末までに85件(前年81件)で、3年連続で年間最多を更新した。...

2割負担対象も預貯金に応じ1割の案 部会

 第130回社会保障審議会介護保険部会が12月1日に開かれ、「持続可能性の確保」「論点ごとの議論の状況」などが議論された。
 
 今回、「持続可能性の確保」は
 
 ●「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
 ●補足給付に関する給付の在り方
 ●ケアマネジメントに関する給付の在り方
 
 の3つの論点に絞って議論された。
 
 「一定以上所得」「現役並み所得」の「一定以上」とは、介護保険サービス利用時の自己負担を2割とする所得層で、「現役並み」とは自己負担3割の所得層だ。簡単にいえば所得の多い人は自己負担も多く、という応能負担の考え方に基づく施策である。現行の「一定以上所得」「現役並み所得」の基準は以下の通り。

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