厚生労働省のまとめによると、2019年度の医療費は43兆6000億円となり、前年度に比べて約1兆円の増加となった。
医療費を伸び率でみると、19年度は前年度比2.4%増。この5年間の推移では15年度3.8%増、16年度0.4%減、17年度2.3%増、18年度0.8%増となっている。15年度の伸びが比較的大きかったのは、C型肝炎治療薬などの高額な薬剤が登場したことにより医療費の伸びが高かったため。一方、16年度がマイナスになったのは、C型肝炎治療薬の薬価を引き下げたことや使用料が減少したことで、医療費の伸びが低かったことによる。
15~18年の4年間の平均伸び率は1.6%であることから、19年度の伸び率はやや高くみえる。ただ、厚労省によると、過去4年間は診療報酬のマイナス改定などがあって低くなっているため、19年度が特に高いということはなく、最近の医療費の伸びと同程度とみることができるという。
また、人口構成の高齢化と医療の高度化などによって医療費が伸びるという基調に、大きな変化はないというのが同省の見方だ。なお、19年度の医療費の伸びには、19年10月の消費税引き上げに伴う診療報酬改定の実施、同年2月が閏月であったことの影響が含まれている。
19年度の医療費の伸び率2.4%増は、受診延べ日数の伸び率0.8%減と、1日当たり医療費の伸び率3.2%増に分けられる。最近は受診延べ日数が減少傾向、1日当たり医療費は増加傾向にあり、19年度も同様の傾向がみられている。
医療費の伸び率を診療種別にみると、入院2.0%増、入院外2.0%増、歯科1.9%増、調剤3.6%増となっている。