中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)薬価専門部会は6月17日、第167回会合を開催し、事務局から今年度の薬価調査の計画案が示された。しかし、前回の会合に続き、診療側委員は「現在の状況では薬価調査は行えない」と主張、支払側委員は「どのような形でなら実施できるのかを議論すべき」と述べ、意見を集約することはできなかった。
計画案は、医療機関などの購入側調査は現場の負担に配慮する観点から、調査対象を昨年度調査の半分の規模とし、販売側調査は負担軽減を図りつつ、調査精度を確保するため、医薬品卸の営業所などから3分の2を抽出して実施するとしている。
前回の会合では、ヒアリングを行った医薬品の業界団体や診療側委員から、現状は新型コロナウイルス感染症の影響で、薬価調査を行える環境になく、「仮に実施しても実勢価格を把握することは困難」などの理由から、調査の実施は不可能との意見が出されたが、この日の会合でも診療側委員は調査実施に反対の意向を示した。
これに対し、支払側委員からは、やはり前回同様、中医協の役割は6月末までにどのような形であれば調査が実施できるかという結論を出すことだとして、「中医協としてこれを是とするか非とするかの議論をしていくべき」との考えが出された。
結果的にこの日の会合では、意見がまとまらなかったことから、次回の会合でも引き続き議論を行う予定だ。
なお、同部会に続いて開催された第462回中医協総会で、新型コロナウイルス感染症に伴う診療報酬上の臨時的な取り扱いに関して報告があった。療養病棟入院基本料などを算定する患者や、介護老人保健施設の入所者などにPCR検査と抗原検査を行った場合、DPC病院などと同様、出来高で算定できることになった。
また、PCR検査と抗原検査の取り扱いに関するガイドラインが改正され、これまで抗原検査で陰性となった場合、追加でPCR検査を実施することになっていたが、16日付のガイドラインにより、発症日の2日目から9日目以内の患者が抗原検査で陰性となった場合は、追加のPCR検査を行う必要がなくなった。