社福合併などにガイドライン 社保審部会が承認

2020年 7月 17日

第25回福祉部会

社会福祉法人の合併などに関するガイドラインを承認した第25回福祉部会

 社会保障審議会(厚労相の諮問機関)福祉部会は715日、第25回会合を開催し、事務局が提示した社会福祉法人の合併と事業譲渡・譲り受けに関するガイドラインを承認した。

 

 昨年6月に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」で、社会福祉法人の事業の大規模化や協働化に円滑に取り組めるよう、ガイドラインなどを策定することを求めていた。

 ガイドラインでは、合併と事業譲渡・譲り受けの手続きと留意点について、適切・不適切例を交えながら解説。合併と事業譲渡・譲り受けに共通する事項として、法人諸官庁などへの事前相談、利用者・職員に対する十分な説明と理解の促進、寄付財産や国庫補助を受けている財産に関する税務署・行政庁への相談を挙げた。

 合併に関しては、社会福祉法に規定されている手続きを示し、留意点として当事者法人の十分な協議と当事者間の適切な合意形成、消滅法人の退職役員に対する報酬の社会福祉法に基づく手続きの厳守を明記。租税の取り扱いとしては、租税特別措置法第40条の適用を継続する場合の申請について記した。

 事業譲渡・譲り受けでは、譲り受ける事業に関する新規の許認可などの手続き、事業を譲り渡す法人の事業廃止などの各種手続きを紹介。また、合併と異なり包括継承がされないため、利用者や職員、調理、清掃などの委託業務、土地や建物など事業に関連するものは、改めて契約行為が必要になることを指摘した。

 留意点としては、事業の譲り渡しでは、譲り渡し先法人の事業実施可能性を事業所管行政庁へ事前協議を行うこと、相手方法人の関係者が特別の利益供与の禁止対象者となる場合、社会福祉法の規定に抵触しないようにすること、資産を譲渡する際には法人外流出に当たらないように適正な評価を行った上で価格を検討すること、を求めている。

 この日の会合では、今回のガイドラインは現行法を前提としたもので限界があることから、新たな法制度の整備が必要との意見が複数の委員から出た。これに対し、事務局からはガイドラインを出したことで、今後どのように合併や事業譲渡が進むのかを把握し、その上で必要な対応を検討していく考えが示された。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

24年の介護事業者の倒産過去最多 半数が訪問介護🆕

 東京商工リサーチの調査によると、2024年の介護事業者の倒産が過去最多の172件(前年比40.9%増)に達したことがわかった。これまで最多だった2022年の143件を29件上回った。
 
 ヘルパー不足や集合住宅型との競合、基本報酬のマイナス改定などが影響した訪問介護が過去最多の81件、多様化したニーズに対応できなかったデイサービスも過去2番目の56件、有料老人ホームも過去最多の18件といずれも増加している。
 
 介護事業者の倒産は16年に年間100件を超えた。コロナ禍で利用控えなどにより増加し、コロナ関連支援で21年は一時的に減少したが…

23年度の介護施設の高齢者虐待が過去最多 厚労省

 厚生労働省の調査によると、2023年度の介護施設の職員らによる高齢者への虐待は1123件(前年度比31.2%増)で3年連続増加し、過去最多となった。同省は12月7日、高齢者施設などの関係団体に対し、虐待防止策を徹底するよう要請した。  虐待の種別(複数回答、以下同)では「身体的虐待」(51.3%)が最も多く、「心理的虐待」(24.3%)、「介護等放棄」(22.3%)、「経済的虐待」(18.2%)と続き、性的虐待も2.7%あった。...

今後の検討事項を提示 第116回介護保険部会

 12月23日、第116回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「主な検討事項(案)について」「介護保険をめぐる状況について」などが議論された。  同部会が2022年12月に公表した「介護保険制度の見直しに関する意見」をふまえ、今後の検討テーマとして  ①地域包括ケアシステムの推進  ②認知症施策の推進・地域共生社会の実現  ③介護予防・健康づくりの推進  ④保険者機能の強化  ⑤持続可能な制度の構築、介護人材確保・職場環境改善 の5つが提案され、了承された。委員の意見を以下に紹介する。...

包括ケア型の高齢者住宅・施設などが76万戸不足

 タムラプランニングアンドオペレーティングは「自治体別高齢者住宅・施設等の需給予測データ2024年度版」を発行した。  47都道府県と政令指定都市(20市)・中核市(62市)・首都圏(109市)関西圏(73市)の全市、東京23区がとりまとめた介護保険事業支援計画と介護保険事業計画から、要介護者向け高齢者住宅・施設など(包括ケア居室)を供給量として把握し、この地域に住む要介護3以上の認定者数を需要量として、供給と需要の差に着目して推計した。...

情報二次利用など議論 第115回介護保険部会

 12月10日、第115回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「医療等情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針について」「要介護認定の認定審査期間について」「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会の中間整理について」などが議論された。
 
 現在、医療DXが推進され、「全国医療情報プラットフォーム」の構築や電子カルテ導入、電子カルテ情報の標準化などが掲げられている。得られた情報については「医療介護の公的データベースの利活用を促進するとともに、研究者、企業等が質の高いデータを安全かつ効率的に利活用できる基盤を構築する」(骨太の方針2024)など、実用化に向けた議論が各所で行われている。
 
 医療・介護関係のデータベース、現行ではNDB・介護DB・DPCDB・障害福祉DB・予防接種DB…ジャンル別にと独立している。これらをクラウド上の…

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(1月6-12日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS