中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)は5月13日、第458回総会を開催し、同日特例として薬事承認された新型コロナウイルス感染症の抗原検査キットの保険適用を承認した。
感染が疑われる患者に対し、医師の判断で検査を実施した場合、「マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)」の4回分600点を準用する。1回限りの算定だが、同検査で陰性だったものの、新型コロナウイルス感染症以外の診断がつかない場合は、もう1回算定できる。
PCR検査では結果が出るまでに4~6時間かかるが、抗原検査キットなら30分程度で判定できる。ただ、陽性一致率が8~9割であることから、抗原検査キットで検査を行い、陰性の場合はPCR検査を受けることになる。それでも、陽性だった場合はその時点で検査を行う必要がなくなるので、PCR検査体制の負担軽減につながる。
承認された抗原検査キットは富士レビオが開発した。鼻腔の奥の粘膜表皮を綿棒で採取し、試薬の入った反応カセットで判定する。同社は承認を受け、「エスプラインSARS‐CoV‐2」の製品名で同日販売を開始した。
週20万件の生産体制を構築しているが、国内に行きわたるまでには時間がかかるため、患者数の多い都道府県の帰国者・接触者外来と全国の特定機能病院から供給を開始する。その後、対象地域とPCR検査を実施できる医療機関を中心に、供給対象を拡大していく。
総会では、医療現場でPCR検査との使い分けで混乱が起きる可能性があることから、分かりやすい指針を策定することや、クラスター発生が懸念される一般病院や介護施設などでも早期に使えるようになることを求める意見などが出された。厚生科学審議会感染症部会で同日、検査キットの活用に関するガイドラインが取りまとめられている。