政府は5月29日、今後5年間の少子化対策の指針となる「少子化社会対策大綱」を閣議決定し、子供がほしい人の希望がかなった場合の出生率である「希望出生率」を1.8とする目標数値を明記した。
大綱ではまず、出生数の減少が予想を上回るペースで進み、一度は1.45 まで回復した合計特殊出生率も、ここ数年微減傾向にあるとの危機感を示し、少子化の主な要因は未婚化・晩婚化と有配偶出生率の低下だとした。
その上で、対策の基本的な考え方として、①結婚子育て世代が将来展望を描ける環境整備、②多様化する子育て家庭のニーズへの対応、③地域の実情に応じた取り組み、④結婚、妊娠・出産、子ども・子育てにやさしい社会づくり、⑤科学技術の成果などの積極活用、を挙げた。
具体策としては、若者の雇用の安定、非正規雇用対策の推進、保育の受け皿の整備、育児休業や短時間勤務などの定着、子育て女性などの再就職支援、男性の育児参加の促進、長時間労働の是正などを図る。
また、保育所待機児童数を今年度末にゼロに、男性の育児休業取得率を18年の6%から25年には30%にするなどの数値目標も設定した。
大綱は04年に初めて策定し、5年ごとに見直しを行っている。前回は「集中取組期間」と位置付け、待機児童の解消や男性の育児休業取得率13%などを目指したが、これらの目標は達成できなかった。