12月23日、第116回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「主な検討事項(案)について」「介護保険をめぐる状況について」などが議論された。
同部会が2022年12月に公表した「介護保険制度の見直しに関する意見」をふまえ、今後の検討テーマとして
①地域包括ケアシステムの推進
②認知症施策の推進・地域共生社会の実現
③介護予防・健康づくりの推進
④保険者機能の強化
⑤持続可能な制度の構築、介護人材確保・職場環境改善
の5つが提案され、了承された。委員の意見を以下に紹介する。
・給付と負担の問題(上記⑤に含まれる)について、高齢者は所得だけでなく金融資産などの資産をもつケースもあり、それをどう反映させるか。現役世代、2号被保険者の負担をどう抑えるかも、避けて通れない
・医療と介護の連携は進んできたが、医療保険と介護保険は必ずしも足並みが揃っておらず課題は多い
・次期制度改正では独居の認知機能低下高齢者(認知症とMCI)にフォーカスするべき。人数が増え、保健医療福祉のニーズだけでなく生活支援、居住支援、権利擁護のニーズが増える。特殊詐欺の被害者となるケースもあり、ニーズが複合化している
・介護保険の財源構成について、公費と保険料の割合も国と地方の割合も、制度開始以来変わらない。今後は1号被保険者が増えて2号は減少するので、これらの負担割合を考える必要がある。保険料を負担する範囲も再考を
・前回の部会は現在のような物価高ではなかった。多角的な分析が必要
・若い人は介護の仕事に興味がなく、介護は見放されていると感じる。危機感をもって、根本的徹底的な対策が必要
・介護事業の経営基盤強化について、協働化や大規模化が提示されるが、両者は別々に考えるほうがいい。協働化では、小規模事業者同士が地域に根差すかたちを作ることが大事で、大規模化とセットで考えないようにすべき
・大規模化によって離職者が少なくなったというデータがあるが、それ以外に大規模化のメリットはあるのか。小規模事業所がなくなるのは心配である