中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は12月27日、訪問診療・往診の16kmルールについて診療側・支払側委員が意見を述べた。
訪問診療・往診の評価に関しては「往診料」「在宅患者訪問診療料」が設けられている。その上で、患者の家に近い医療機関が地域医療を提供するという観点から、医療機関と患者の家の距離が16kmを超える場合は「絶対的な理由」があることが算定要件となっている。
絶対的な理由とは、患者が求める診療に対し専門的に対応できる医療機関が患者の家から半径16km以内に存在しないこと、存在していても往診などを行っていない場合などが例示されている。
これに対し、今年6月と11月に閣議決定された「規制改革実施計画」と「デフレ完全脱却のための総合経済対策」の中で、「絶対的な理由」について整理・周知を検討・行うことが求められたことから、今回、中医協の場で議論することになった。
診療側委員からは、例外的に16kmを超えた往診などを行う場合、依頼を受けた医療機関は、普段から受診や相談などを行っている医療機関がないかを患者に確認することが重要で、そうした医療機関がある場合には、その医療機関に対して連絡した上で対応するのが適当との考えが示された。
支払側委員も、16km以内にかかりつけ医機能のある医療機関がない場合や対応が困難な場合に限り、例外的に16kmを超える場所にある医療機関が対応する、という形で整理できるが、かかりつけ医療機関の対応が困難で遠方の医療機関が対応する場合には、かかりつけ医療機関と適切に連携することも重要な要素になると述べた。
そもそも、大半の国民や患者は16kmルールを知らないはずとも指摘し、厚労省や保険者などが周知する取り組みを行うことの必要性についても触れた。