緩和ケア推進へICTで病院間連携を 中医協

2023年 11月 25日

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は11月24日、緩和ケアなどについて議論を行った。

 がん患者などの多様な苦痛に対応する緩和ケアに関する診療報酬のうち、緩和ケア診療加算と外来緩和ケア管理料については、がん診療連携拠点病院で緩和ケア診療加算を届け出ている割合は約8割、外来緩和ケア管理料については約7割に留まっている。

 その理由としては「緩和ケア診療を行うための十分な人員体制を整えることが困難だから」が最も多く、都道府県がん拠点病院の約4割、地域がん拠点病院・地域がん診療病院の約半数で、要件の努力義務となっている専従または専任の精神担当医が配置されていない。

 そこで、厚労省から緩和ケアの提供に関して精神科の医師が果たしている役割を踏まえ、がん診療連携拠点病院などにおける評価のあり方が論点として示された。

 この点に関して、診療側委員からは身体症状だけでなく、精神症状にも対応した質の高い緩和ケアを提供するため精神担当医の配置は重要だが、現状や精神科の医師数の数を考慮すると、すぐに診療報酬で評価するのは拙速だと述べた。

 一方、支払側委員からは精神担当医の配置は努力義務となっているが、緩和ケアチームに専従・専任の精神担当医が配置されている場合、精神症状への対応依頼が多いことから、拠点病院に精神担当医を配置することの重要性が指摘された。

 また、がん診療連携拠点病院以外の病院に入院中の患者の精神症状の治療に関して、がん診療連携拠点病院の精神科医・緩和ケアチームによるICTを使った定期的な連携を行うことで、退院することなくがん治療を継続できた事例が厚労省から示された。

 これに対し、診療側委員・支払側委員ともICTの活用を求める意見が出されていた。

 なお、在宅での非がんの緩和ケアについては、欧州では看護職が積極的に関わっているとの見解が公益委員から示された。これについて介護の専門委員からは、安心して苦痛を和らげるためには、病院・診療所・訪問看護事業所の連携が重要だとする考えが示された。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

ホーム紹介の実態提示 望ましいあり方検討会始まる🆕

 第1回有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会が4月14日に開催され、有料老人ホーム(以下、「有料」)の現状と課題、論点が提示された。

 
 「有料」の定義は、「老人を入居させ、①食事の提供、②介護(入浴・排泄・食事)の提供、③洗濯・掃除等の家事の供与、④健康管理、のいずれか(複数可)を提供している施設」であるため、基準を満たせば介護保険制度の「特定施設入居者生活介護」の給付対象にもなる。それがいわゆる「介護付き有料」だ。
 
 「介護付き有料」には介護保険施設のような設備基準や夜間の人員配置基準などが定められておらず、サービスの質をどう担保するかが課題とされてきた。

常勤職員の基本給は1万円余増 給付費分科会

 第245回社会保障審議会介護給付費分科会が3月24日に開催され、令和6年度介護従事者処遇状況等調査の結果が報告された。  令和6(2024)年度介護従事者処遇状況等調査は特養、老健、訪問介護、通所介護など9種・1万3801施設・事業所を対象に、24年10月に行われた。...

介護職員給与1万3960円増 処遇改善加算取得で

 厚生労働省は3月18日に開催した社会保障審議会介護給付費分科会で、2024年度の介護従事者処遇改善状況等調査結果を公表した。  それによると、処遇改善加算を取得している施設・事業所の職員(月給・常勤)の昨年9月時点の平均給与(賞与などを含む)は33万8200円で、前年同月に比べ1万3960円(4.3%)増加した。賞与などを除いた基本給は25万3810円で同1万1130円増だった。  調査は全国の1万3801施設・事業所を対象に実施し、8180施設・事業所から回答があった(有効回答率59.3%)。...

介護保険利用者の情報を一元化 来年4月から着手

 厚生労働省社会保障審議会介護保険部会は3月17日に開催された会合で、介護分野の情報を一元化する取り組みを来年4月から開始する方針を了承した。  要介護度認定に必要な主治医意見書や要介護度、ケアプランなど、介護保険利用者の基本情報を1つにまとめ、介護事業者や医療機関、自治体などがインターネットで確認できるようにする。  これにより、自治体や事業所の事務負担を軽減し、サービスを提供するスピードを早めることが期待できる。マイナンバーカードの活用も視野に入れている。...

24年の出生数72万人で過去最少 前年比5%減

 厚生労働省の人口動態統計速報によると、2024年に生まれた子どもの数(外国人を含む出生数)は、72万988人で過去最少となった。9年連続の減少で、前年に比べ3万7643人(5.0%)のマイナスとなった。  一方、死亡数は161万8684人で過去最多。4年連続で増加し、同2万8181人(1.8%)のプラス。この結果、死亡数から出生数を引いた自然増減数は89万7696人で、過去最大の減少となった。18年連続のマイナスで、同6万5824人減った。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(4月7-13日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS