中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は11月24日、緩和ケアなどについて議論を行った。
がん患者などの多様な苦痛に対応する緩和ケアに関する診療報酬のうち、緩和ケア診療加算と外来緩和ケア管理料については、がん診療連携拠点病院で緩和ケア診療加算を届け出ている割合は約8割、外来緩和ケア管理料については約7割に留まっている。
その理由としては「緩和ケア診療を行うための十分な人員体制を整えることが困難だから」が最も多く、都道府県がん拠点病院の約4割、地域がん拠点病院・地域がん診療病院の約半数で、要件の努力義務となっている専従または専任の精神担当医が配置されていない。
そこで、厚労省から緩和ケアの提供に関して精神科の医師が果たしている役割を踏まえ、がん診療連携拠点病院などにおける評価のあり方が論点として示された。
この点に関して、診療側委員からは身体症状だけでなく、精神症状にも対応した質の高い緩和ケアを提供するため精神担当医の配置は重要だが、現状や精神科の医師数の数を考慮すると、すぐに診療報酬で評価するのは拙速だと述べた。
一方、支払側委員からは精神担当医の配置は努力義務となっているが、緩和ケアチームに専従・専任の精神担当医が配置されている場合、精神症状への対応依頼が多いことから、拠点病院に精神担当医を配置することの重要性が指摘された。
また、がん診療連携拠点病院以外の病院に入院中の患者の精神症状の治療に関して、がん診療連携拠点病院の精神科医・緩和ケアチームによるICTを使った定期的な連携を行うことで、退院することなくがん治療を継続できた事例が厚労省から示された。
これに対し、診療側委員・支払側委員ともICTの活用を求める意見が出されていた。
なお、在宅での非がんの緩和ケアについては、欧州では看護職が積極的に関わっているとの見解が公益委員から示された。これについて介護の専門委員からは、安心して苦痛を和らげるためには、病院・診療所・訪問看護事業所の連携が重要だとする考えが示された。