中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は11月17日、病院における歯科の機能の評価や障害者・認知症の人への治療など歯科医療について議論した。
この日示された資料によると、回復期リハビリテーション病棟に入院している高齢患者の約8割に口腔機能障害が認められる一方、回復期リハ病棟入院料を算定している病院で歯科を持っているところは、全体の2割程度にとどまっている。
回復期リハ患者に対し、歯科専門職が口腔管理を行ったところ、間接的にADLの改善につながったとする研究報告があることから、病院の歯科機能を強化するため地域歯科診療支援病院歯科初診料の施設基準を見直す意見が述べられた。
また、脳卒中患者の多くに摂食嚥下障害が認められ、急性期では誤嚥のリスクが高いため、脳卒中発症後早期に歯科が介入することが必要とされているが、周術期等口腔機能管理料の対象となっているのは手術や放射線治療などを行う患者で、脳卒中患者は対象となっていない。そこで、脳卒中患者も対象とすべきとの考えが示された。
障害者や認知症の人への歯科治療は非常に困難で、治療に対し泣いたり拒否したりなどの不適応行動を示す患者に対しては行動変容法(行動療法)が行われる。しかし、行動変容法を行った場合の評価は初診時だけであることから、治療内容に応じた評価を求める意見が出されていた。
そのほか、医科では医療的ケアを行うにあたって必要な情報を学校医などに提供した場合は診療情報提供料が算定されるのに、歯科では障害児の摂食嚥下・給食などに関する情報提供を行っても評価されないことから、医科と同様の評価を求める意見があった。
さらに、唾液分泌を抑制する薬剤や歯肉炎、顎骨壊死の原因となる薬剤があることから、医歯薬連携をより推進するための体制整備を求める意見もあった。