給付と負担の議論を再開 介護保険部会

2023年 11月 9日

 11月6日、第108回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「給付と負担」「『住宅確保要配慮者に対する居住支援機能のあり方に関する検討会』中間とりまとめ素案」について議論を行った。

 「給付と負担」では、2022年12月に公表した「介護保険制度の見直しに関する意見」で「第9期計画に向けて結論を得ることが適当」とされた3項目――①2割負担の判断基準、②1号保険料のあり方、③老健・介護医療院の多床室の室料負担――のうち、前回に続いて①②が取り上げられた。

 介護保険サービスの利用者負担は制度創設以来、所得に関係なく1割であったが、2015年8月、「一定以上所得」(被保険者の上位20%)は2割となり、応能負担が初めて導入された。18年8月には上位20%のうち特に所得の高い「現役並み所得」に3割負担が導入されている。

 「一定以上所得」を現行の上位20%から拡大するかについて、厚労省は前回(7月)の部会で上位30%のモデル年収について収入と支出を試算した。上位20%とは年収280万円であり、これを30%に拡大すると年収220万円の世帯から2割負担となる。

 前回は上位20%と30%の試算が提示されたが、これに対し委員から「その中間の所得についても試算すべき」との声が上がった。そのため今回、上位22%→年収260万円、26%→年収240万円の試算が提示された。

単身世帯の試算
夫婦世帯の試算

第108回介護保険部会資料1より

 また、2割負担の導入により“利用控え”が起きたか、に関する調査も示された。2割負担で1週間当たり利用単位の合計が「減った」は3.8%。うち、その理由が「介護に係る支出が重い」は35%で、2割負担利用者全体の1.3%となった。

 「一定以上所得」の拡大について委員の意見は慎重論が多く、引き続き議論を続ける。

このカテゴリーの最新の記事

このカテゴリはメンバーだけが閲覧できます。このカテゴリを表示するには、年会費(年間購読料) もしくは 月会費(月間購読料)を購入してサインアップしてください。

訪問介護事業者の倒産が10月で年間最多上回る🆕

 東京商工リサーチによると、介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産が1-10月で145件発生し、これまで年間最多だった2022年の143件を上回り、2カ月残して過去最多を記録した。  業種別では、訪問介護72件で23年の67件を抜いて過去最多となった。ヘルパー不足や燃料代などの運営コスト上昇に加え、24年の介護報酬マイナス改定の影響が出ている可能性がある。  訪問介護以外では、通所・短期入所が48件、有料老人ホームが11件、その他が14件だった。...

23年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円

 厚生労働省によると、介護給付費と自己負担額を合わせた2023年度の介護保険費用の総額は11兆5139億円で、前年度に比べ約3227(2.9%)増え過去最多となった。  介護サービス費は11兆2146億円で、同3066億円(2.8%)増、介護予防サービス費は2993億円で同161億円(5.7%)増えた。  受給者数は介護サービスが566万6500人で同7万4900人(1.3%)の増加、介護予防サービスは124万4600人で同5万9900人(5.4%)増えている。...

高齢者数が過去最多、高齢化率は200カ国中最高に

 総務省がまとめた65歳以上の高齢者人口推計によると、「敬老の日」の9月15日時点の高齢者数は3625万人で過去最多となった。総人口に占める割合は29.3%で過去最高となっている。  総人口が前年に比べ59万人減少しているのに対し、65歳以上人口は2万人増加した。この結果、総人口に占める割合は前年に比べ0.2ポイント増加した。  総人口に占める65歳以上人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降、一貫して上昇しており、1985年に10%、2005年に20%を超えていた。...

「高齢社会対策大綱」決定 医療費負担拡大を検討

 政府は6月13日、2018年以来6年ぶりの改定となる「高齢社会対策大綱」を閣議決定。75歳以上の後期高齢者の医療費について、窓口負担が3割となる対象範囲の拡大を検討する方針を示した。  後期高齢者の窓口負担は現在、原則1割、一定の所得があれば2割、現役並みの所得があれば3割負担となっている。これを、年齢にかかわりなく、能力に応じて支え合うという観点から、3割負担の対象の拡大を検討することになった。...

6月の訪問介護事業所の廃業が前年に比べ1割増

 厚生労働省の調査によると、6月の訪問介護事業所の廃業数が前年同月に比べ1割増加していることが分かった。4月の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことも一因と見られそうだ。  都道府県・政令市・中核市129自治体に照会し、126自治体から回答を得た。その結果、廃止事業所数は133で、前年同月の119から11.8%増加した。...

1週間無料でお試し購読ができます  詳しくはここをクリック

新着記事は1カ月無料で公開

有料記事は990円(税込)で1カ月読み放題

*1年間は1万1000円(同)

〈新着情報〉〈政策・審議会・統計〉〈業界の動き〉は無料

【アーカイブ】テーマ特集/対談・インタビュー

コラム一覧

【アーカイブ】現場ルポ/医療介護ビジネス新時代

アクセスランキング(11月11-17日)

  • 1位
  • 2位
  • 3位 90% 90%
メディカ出版 医療と介護Next バックナンバーのご案内

公式SNS