11月6日、第108回社会保障審議会介護保険部会が開かれ、「給付と負担」「『住宅確保要配慮者に対する居住支援機能のあり方に関する検討会』中間とりまとめ素案」について議論を行った。
「給付と負担」では、2022年12月に公表した「介護保険制度の見直しに関する意見」で「第9期計画に向けて結論を得ることが適当」とされた3項目――①2割負担の判断基準、②1号保険料のあり方、③老健・介護医療院の多床室の室料負担――のうち、前回に続いて①②が取り上げられた。
介護保険サービスの利用者負担は制度創設以来、所得に関係なく1割であったが、2015年8月、「一定以上所得」(被保険者の上位20%)は2割となり、応能負担が初めて導入された。18年8月には上位20%のうち特に所得の高い「現役並み所得」に3割負担が導入されている。
「一定以上所得」を現行の上位20%から拡大するかについて、厚労省は前回(7月)の部会で上位30%のモデル年収について収入と支出を試算した。上位20%とは年収280万円であり、これを30%に拡大すると年収220万円の世帯から2割負担となる。
前回は上位20%と30%の試算が提示されたが、これに対し委員から「その中間の所得についても試算すべき」との声が上がった。そのため今回、上位22%→年収260万円、26%→年収240万円の試算が提示された。
第108回介護保険部会資料1より
また、2割負担の導入により“利用控え”が起きたか、に関する調査も示された。2割負担で1週間当たり利用単位の合計が「減った」は3.8%。うち、その理由が「介護に係る支出が重い」は35%で、2割負担利用者全体の1.3%となった。
「一定以上所得」の拡大について委員の意見は慎重論が多く、引き続き議論を続ける。