9月15日、第224回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、令和6年度(2024年度)介護報酬改定に向けて「地域包括ケアシステムの深化・推進」「自立支援・重度化防止を重視した質の高い介護サービスの推進」「制度の安定性・持続可能性の確保」などを議論した。
地域包括ケアシステムの深化・推進については「感染症への対応力強化」「業務継続に向けた取組の強化等」、自立支援・重度化防止には「口腔・栄養」の各論が掲げられた。
口腔ケアや栄養管理は高齢者のQOL維持向上にとって不可欠であり、関連する加算も多く用意されている。通所サービスにおいて、口腔・栄養関連加算を「算定してよかった」と実感するものは「利用者の誤嚥性肺炎の予防」「利用者の食事量の改善」「本人・家族に喜ばれる」などと紹介された。
ただ、介護保険施設(老健と介護医療院)に就業する歯科医師は34人、歯科衛生士は1258人にすぎない(2020年)。一方、管理栄養士の常勤換算数は増加傾向にある。
制度の安定性・持続可能性の確保については、報酬体系の簡素化が議論された。報酬改定のたびに加算が新設され、請求手続きは複雑化し介護職の負担も増す一方と指摘される。事務局は各種加算の算定状況を調べ、2021-22年度の平均算定率が80%を超える加算と、22年度に算定がなかった加算を公表した。
22年度に算定がなかった加算はのべ194種類に及ぶ。これ以外で同年度の平均算定率が1%未満であった加算はのべ175種類と、多くの加算が生かされていないことが明らかにされた。委員からは、算定率が低いものは整理し、報酬本体できちんと手当てすべきとの意見が相次いだ。
処遇改善加算については現在、①介護職員処遇改善加算、②介護職員等特定処遇改善加算、③介護職員等ベースアップ等支援加算、の3種類がある。これも3本立てで事務負担が大きいと指摘され、処遇改善加算の1本化を検討する。取得要件ても見直される予定だ。